がんの勉強部屋☆
がんの最新情報から予防、医療情報まで科学的証拠に基づいた情報を集めまています。いろいろな情報を共有できたらと思っています。
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信越化学と東京大学、知の構造化に関する共同研究開始で合意
信越化学工業と東京大学、知の構造化に関する共同研究開始で合意 


 信越化学工業株式会社(代表取締役社長 金川 千尋、以下「信越化学」)と国立大学法人東京大学(総長 小宮山 宏、以下「東京大学」)は、このたび「汎化学に関する知の構造化」を目指した共同研究を行うことで合意し、2009年度より共同研究を開始いたします。

 東京大学は、「知の構造化センター」を設立し「知の構造化」に関する領域横断的な研究教育プロジェクトを推進してきました。両者は、本共同研究を「未来を拓く研究推進 信越化学プロジェクト ~汎化学に関する知の構造化~」と位置付け、知の構造化センターが主導する産学連携プロジェクトとして、以下のとおり研究を推進してまいります。

【共同研究について】

1. 研究の名称
 「未来を拓く研究推進 信越化学プロジェクト ~汎化学に関する知の構造化~」

2. 契約期間
 2009年4月1日から2012年3月31日

3. 研究の概要
 両者は、「汎化学に関する知の構造化」を通して、化学を基盤として、ナノフォトニクス、MEMS/NEMS、マイクロ・ナノ化学、ナノバイオ、ナノインプリント等々の新しい科学と工学の発展・融合を促進し、新しい価値を創造する産業技術へと展開することを目指します。

 そのために、ナノメートルスケールからマクロスケールまでを繋ぐ拡張ナノ空間の理工学を展開するとともに、マイクロメートルスケールからナノメートルスケールの領域に展開されつつあるトップダウン超微細加工技術と、分子の自己組織化などのボトムアップ技術との融合により、マクロスケールからマイクロメートル、ナノメートルスケールまで、各サイズで制御された構造をもつデバイス構築技術を確立いたします。
 さらに、両者は、科学技術発展の方向性、科学技術による生活・社会の変化を分析するため、未来予兆情報の可視化・構造化により社会変化のシナリオを作成し、科学技術の発展シナリオとの相互関係を分析して社会に発信してまいります。

4. 研究成果について
 これら一連の研究により、両者は、新たなイノベーションを惹き起こし、創造される「知」を経済的価値、社会的価値に結びつけ、研究成果を社会に実装してまいります。信越化学は、本研究の成果を自社の事業・製品の拡大、強化につなげてまいります。

 例えば、MEMS/NEMS技術で作成したマイクロチップにマイクロ・ナノ化学の技術で化学反応の機構を構築し、ナノバイオ技術で特定のバイオマーカーを血清から検出する機能を与え、ナノフォトニクスを用いて超高感度に検出できるようにすれば、どこでも手軽に病気や健康状態のチェックができる新しい技術と製品などが創出されることが期待されます。また、ナノテク分野でのナノインプリント技術への適用や新エネルギー分野で寄与する高効率の太陽電池や燃料電池の要素技術としての活用が期待されます。

(注)MEMS :Micro Electro Mechanical Systems  NEMS:Nano Electro Mechanical Systems

【知の構造化センターについて】
 東京大学は、2007年6月1日、自律分散的に創造される膨大な知識を構造化し、現実の価値に結びつけることを目的として、知の構造化センターを設立いたしました。知の構造化センターにおいては、文理・医工協働等により、新しい知的価値、社会的価値、文化的価値の創出を目指し、知の構造化の方法論を確立するとともに、すみやかに実装することで、知の構造化の具現化を推進してきております。

 知の構造化センター設立の背景としては、知識の爆発があります。例えば、学問における知識・情報の幾何級数的な増大と同時に、学問領域の細分化・課題の複雑化が進行しており、他方、細分化・複雑化した専門知を繋ごうとしても、なかなか繋ぎきれないという問題が起きます。そこで、自律分散的に創造されてくる多種多様な知識と知識の関係性を明らかにし、それらの可視化を行い、東京大学にある知識を分野の枠を超えて有効に活用し様々な価値に結びつけることが必要になります。そのための方法論を構築するのが、知の構造化センターの設立趣旨であり、様々な価値創造に向けた取組みを行っております。

以上



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三洋電機と東工大、「電気を通すプラスチック」導電性高分子膜の新製法を開発
“電気を通すプラスチック”導電性高分子膜の新製法を開発

高い導電率の実現で、新規用途開発に道


 三洋電機株式会社(大阪府守口市、代表取締役社長 佐野精一郎)と東京工業大学 資源化学研究所(横浜市緑区、すずかけ台キャンパス、山本隆一教授)は、導電性高分子の高性能化に関する共同研究を行っております。この度、三洋電機は導電性高分子膜の高導電率化技術の開発を行い、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)(図1)という高分子(ポリマー)材料において、1,200S/cm(※1)以上というこれまでで最高の導電率を再現良く得ることのできる製法の開発に成功しました。

※1 S(ジーメンス)/cm:導電率の単位。大きいほど電気がよく流れる

 ※ 図1は関連資料をご参照下さい。


1.研究成果の概要

 “導電性高分子”は“電気を通すプラスチック”とも言われ、帯電防止膜、コンデンサなど幅広い用途に使われていますが、更なる用途拡大・性能向上のため高い導電率を簡便に実現できるような材料及び製法の開発が求められていました。
 導電性高分子の製法には、「化学重合」や「電解重合」などの方法が知られており、化学重合の中でも複数の合成法が知られています。数ある製法の中で、比較的簡単かつ安価にできるのは、1ステップで完了する「化学酸化重合法」であり、ディップやスピンコートなどの簡易な方法を用いて基材上に塗膜を形成することもできます(図2)。

 しかし従来の化学酸化重合では反応の制御性が不十分であり、十分に高い導電率を示す高分子材料を合成できませんでした。
 導電性高分子の一種、「ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)」は、安定な分子構造を持ち、導電性や耐熱性において高いポテンシャルを有することから、導電性高分子材料の中でも多くの研究が行われておりますが、導電率は作り方によって大きく変わり、一般的な製法では数百 S/cmが上限でした。
 今回、導電性高分子材料ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の化学酸化重合において、重合時に加える添加剤の新規開発を行い、1,200 S/cm(最高1,490 S/cm)以上という高い導電率を再現良く得ることのできる製法を見出しました(図3)。


2.技術の応用及び実用化

 今回得られた1,200 S/cmという導電率は、実用できる材料としては、非常に高いレベルのものであり、従来、帯電防止膜と一部の電子部品に限られていた導電性高分子材料の応用範囲を、電極材料としての応用へ拡げることができる可能性があります。
 現在、タッチパネルや液晶テレビ等には、導電率が数千S/cmのITO(インジウム錫酸化物)という金属酸化物系の透明電極材料が用いられています。しかし、インジウムは価格高騰、資源枯渇等の問題を持つ希少金属であり、代替材料の検討が行われています。また良質な透明導電膜を得るため、通常、成膜時にスパッタリングもしくは電子ビーム蒸着といった真空プロセスが用いられています。今後、低コストの塗布プロセスで形成できる導電性高分子の性能が向上し、ITO並みの導電率と透明性が確保できれば、ITOの代替として用いることも候補として考えられます。 
 さらに、導電性高分子膜は柔軟性に優れているため、曲げに強く、低温形成も可能であることから、従来製品と異なり、プラスチックフィルムを基材とした超軽量・薄型のデバイスにも適用することが可能です。
 また、導電性高分子膜の信頼性・耐久性に関しては、実用化されている既存のデバイスで、高い信頼性が実証されています。導電膜としての新しい応用では、空気中の水分や酸素、あるいは、紫外線などが、有機物の劣化原因となるため、用途に応じた耐久性の確保に向け、さらなる技術開発を進めます。


3.環境に配慮した技術の実現に向けて

 今回開発した要素技術は、固体電解コンデンサ、タッチパネル等への応用が考えられますが、実用に向けての課題を克服し、有機導電膜ならではの特性を生かした応用、環境に配慮した技術としても実用化が図れるよう今後の技術開発に努めて参ります。
 東京工業大学では、独自の合成技術を活かし、過去に非常に多くの種類の導電性高分子材料の開発を手がけています。今回の共同研究では、PEDOT以外の材料でも、導電性高分子の耐熱性向上に結びつく研究成果が創出されており、それらの材料要素技術についても実用化を目指した改良を今後行って参ります。


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理化学研究所、10兆分の1秒で形を変えていく分子の瞬間の構造を観測
10兆分の1秒で形を変えていく分子の瞬間、瞬間の構造を観測
- 化学反応の遷移状態の構造解明に道を拓く -



◇ポイント◇
 ・100兆分の1秒の光パルスで分子を瞬間的に揺さぶり、その揺れの変化をキャッチ
 ・異性化反応途中のスチルベン分子の連続的な構造変化をリアルタイムで追跡
 ・化学反応の鍵となる遷移状態の瞬間の構造に迫る


 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、分子が炭素原子間の二重結合位置でねじれる「異性化反応」において、分子の形が10兆分の1秒の時間スケールで連続的に変化していく様子を、最先端の分光計測法を用いて解明しました。これは、基幹研究所(玉尾皓平所長)田原分子分光研究室の竹内佐年専任研究員と田原太平主任研究員が、国立大学法人北海道大学の武次徹也教授らと共同で行った研究による成果です。

 分子の異性化は、構造異性体(※1)と呼ばれる互いに関連した化学種どうしを変換する、基本的な化学反応です。この反応は、私たちがものを見る際に、最初に光によって網膜中の光受容タンパク質の中で引き起こされるなど、多くの重要な生化学過程の鍵ともなっています。このため、異性化反応の間に、分子が実際にどのように変形していくのかを解明することは、大変重要な課題でした。しかし、これまで化学反応の前後で分子の構造を調べることはできても、反応(変化)の途中で分子が徐々にその形を変えていく様子を観測することは困難でした。

 研究グループは、スチルベン(※2)という分子に紫外光を照射して異性化反応を開始させ、分子がシス型(※1)からトランス型(※1)へと異性化する様子を、新たなラマン分光法(※3)である「時間分解フェムト秒インパルシブ・ラマン分光法(※3)」を用いて観測しました。具体的には、まさに反応途中で形を変えつつあるスチルベン分子に、100兆分の1秒の光パルスを照射して瞬間的に揺さぶり、その揺れの振動数を精密に決定しました。その結果、異性化反応の進行とともに振動数が10%も低下することを見いだしました。この実験結果を最先端の量子化学計算を用いて詳しく解析したところ、これまで考えられてきたようなスチルベンのフェニル基(※2)の動きではなく、質量の軽い水素原子の動きにより分子のねじれが引き起こされていることが分かりました。これによって、反応中の各原子の動きが明らかとなり、化学反応の間に分子がその構造を連続的に変化させていく様子の追跡が実現しました。

 本研究成果は、化学反応が進む方向に決定的な役割を果たす「遷移状態」と呼ばれる瞬間状態の構造を解明する道を拓くと期待されます。この成果は、米国の学術誌『Science』(11月14日号)に掲載されます。


1.背景
 化学反応では、原子間の結合が切れたり作られたりしながら、元の分子とは異なる分子が生み出されます。このような化学反応による分子変化の過程で、分子を構成する各原子の位置がどのように動き、分子の形がどのように変わっていくのかを“手に取る”ように眺め、その一連の変化の仕組みを解明することは、化学の究極の夢の1つといえます。このために科学者は、化学反応の途中に現れ、反応の行方に決定的な役割を果たす「遷移状態」と呼ばれる瞬間状態に注目し、その遷移状態の分子の構造を決定することを夢見てきました。

 現在では、1兆分の1秒という非常に短い時間内に進む超高速の反応でも、先端的分光計測法を使うと、反応の進行とともに反応前の分子の数が減少し、反応によってできる生成分子の数が増加する様子を観測することが可能です。つまり、反応の速さを決めることができます。また、振動分光法(※4)という手法を用いると、反応前の分子や生成分子の形を決めることもできます。しかし、これまで、反応の途中で分子の形がどのように連続的に変化し、元の分子から生成分子へと形を変えていくかを実際に観測することは困難でした。そのため、反応途中の分子の形を解明するための実験データがなく、真の意味での反応機構の理解を難しくしていました。

 そこで、研究グループは、分子が炭素原子間の二重結合位置でねじれる「異性化」と呼ばれる基本的な化学反応を取り上げ、反応途中の分子構造の連続変化を新しい最先端の分光法を用いて研究しました。分子の異性化は、構造異性体と呼ばれる互いに関連した化学種どうしを変換する基本的な化学反応の1つであるだけでなく、数多くの生化学過程にもみられる重要な化学反応です。実際、私たちの視覚では、目に入った光が、光受容タンパク質の中の発色団分子に吸収され、発色団分子が異性化を起こし、その構造がねじれることによって刺激を誘起することが知られています。このように、異性化に伴って分子の形がどのように変化するかを分子科学的に解明することは、生命活動の仕組みを分子レベルで読み解く上でも重要な課題として認識されています。

 スチルベンという分子は、光によって異性化を起こす基本分子として、光受容タンパク質の発色団分子と同様に精力的に研究されてきました。スチルベンは、中央に炭素原子間の二重結合を持ち、その両側にベンゼン環と水素原子が1つずつ結合した構造を持ちます(図1)。二重結合まわりのねじれ角の違いにより、トランス型とシス型という2つの構造異性体があります。シス型のスチルベンに紫外光(波長267ナノメートル)を照射すると、分子が高いエネルギーを持つ電子励起状態となって二重結合まわりにねじれ、トランス型へと異性化を起こします。この基本分子の異性化の速度は、シス型分子の数の減少を測定する分光法によって詳細に研究されており、約1兆分の1秒の間に異性化が起こることが分かっています。しかし、このように反応前と反応後の構造のよく分かっている最も基本的な分子の異性化反応でさえ、反応途中の構造がどのような変化の経路をたどるかは、これまでまったく分かっていませんでした。


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東北大学など、細胞老化を抑えるタンパク質を発見
細胞老化を抑えるタンパク質を発見
―がんや老化に対する治療標的分子候補同定へ向けて―


 がん抑制因子p53(注1)は細胞老化(非可逆的な増殖停止)やアポトーシスを誘導することにより、細胞のがん化を抑えます。このたび、東北大学大学院医学系研究科細胞生物学講座生物化学分野の土肥由裕研究員(現・広島大学医歯薬学総合研究科)、井倉毅講師、五十嵐和彦教授のグループは、財団法人癌研究会癌研究所などのグループと共同で、転写因子(注2)Bach1(バック1)がp53と結合し、その働きを阻害することにより、細胞老化を抑えることを発見しました。細胞老化は個体の老化とも密接に関係することから、Bach1は、がんや老化をコントロールする上で新しい治療標的となる可能性が考えられます。この発見は米国の学術誌Nature Structural & Molecular Biology誌(ネイチャー構造分子生物学誌)の電子版に11月16日18時(英国グリニッジ標準時間)に発表されます。


【 研究内容 】
 我々の体を構成している細胞は、分裂を繰り返しながら増殖しますが、その分裂回数を一定の範囲に制限する仕組みがあります。この仕組みの一つは「細胞老化」と言われ、これが幹細胞(注3)などで生じると組織・臓器の再生能力が低下することから、細胞老化は個体の老化の一因ともなっていると考えられます。一方、細胞老化は、遺伝子に変異が蓄積した細胞が増殖することを防ぎ、がん化を抑制する重要な仕組みともなっています。細胞老化は、p53という転写因子が働くことにより生じます。p53は、細胞老化に関わる遺伝子を発現させることにより細胞の増殖停止を促し、細胞老化を誘導することが知られています(図1 左)。またこの作用により、p53は異常細胞の増殖を防ぐがん抑制因子としても働いています。しかし、細胞老化の前後でp53の働きが調節される分子機構は長年不明でした。

 今回、東北大学大学院医学系研究科・生物化学分野(五十嵐和彦教授)のグループは、財団法人癌研究会癌研究所(野田哲生所長)、独立行政法人理化学研究所基幹研究所(吉田稔室長)のグループとの共同研究により、転写因子Bach1がp53と結合してその働きを抑え、細胞老化を抑制することをマウスでの遺伝子破壊実験(注4)やタンパク質ネットワーク解析などにより明らかにしました。Bach1遺伝子を欠損する細胞は、野生型の通常細胞と異なりp53が容易に活性化し、速やかに細胞老化に至りました。すなわち、Bach1はp53の働きを阻害することにより、細胞老化のブレーキとして働くことが証明されました(図右)。細胞老化が「がん抑制」としての機能を併せ持つことを考えると、Bach1は、老化を抑制するのみならずがん化を促進する役割を持っている可能性があります。また、個体の老化に対してもBach1がブレーキ役として働いている可能性があります。今回の発見は細胞老化やがん化を理解する上で重要なものであり、この研究をさらに進めることにより、がんや老化に対する治療標的分子が同定され、新しい診断や治療法につながることも期待されます。

 本研究は、文部科学省科学研究費補助金(特定領域研究「遺伝情報デコード」、「遺伝情報システム異常と発がん」および基盤研究B)、東北大学医学系グローバルCOEプログラム「Network Medicine 創生拠点」、上原記念生命科学財団研究助成金、武田科学振興財団研究助成金、財団法人病態代謝研究会研究助成金により支援されました。

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カゴメ、ホウレンソウに血中ホモシステインを低減させる作用を確認など研究成果を発表
ホウレンソウに血中ホモシステインを低減させる作用を確認
~動脈硬化の予防に期待~
カゴメ、静岡大学の共同研究


 カゴメ株式会社経営企画本部総合研究所(栃木県那須塩原市)は、静岡大学(静岡県静岡市)杉山公男教授との共同研究で、ホウレンソウに血中ホモシステインを低減させる作用があることを、動物を用いた試験で確認しました。今回の研究成果により、ホウレンソウの摂取による動脈硬化の予防作用が期待できます。本研究内容は、第13回日本フードファクター学会総会・学術集会(11月17~18日タワーホール船堀)において発表いたします。

■ 共同研究者静岡大学杉山公男教授のコメント
 動脈硬化の発症には様々な因子が関与していると考えられています。一般的に知られているのは、血中コレステロールの関与です。今回は、血中コレステロールとは別のメカニズムによって動脈硬化のリスクを高めるといわれている血中ホモシステインに着目致しました。その結果、ホウレンソウに血中ホモシステインを低減させる作用があることを確認しました。その作用物質は、ホウレンソウに豊富に含まれるベタインであると考えられます。血中ホモシステインは喫煙や過度の飲酒などによって増加するといわれています。ホウレンソウなど野菜をしっかりと摂る健康的な生活を心がけることで、危険な疾病へと繋がる動脈硬化を予防しましょう。

■ 研究の背景
 最近では、ガン、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病で亡くなられる方が約7割に達し、その中でも動脈硬化を中心とする循環器系疾患は大きな割合を占めています。ホモシステインは必須アミノ酸であるメチオニンの中間代謝物として生成しますが、ホモシステインの血中濃度が高まると高ホモシステイン血症となります。高ホモシステイン血症は、動脈硬化の独立したリスク因子と考えられています。一方で、ホウレンソウに多く含まれるベタインという物質は、ホモシステインからメチオニンへの代謝を促すことで、ホモシステインを低減させます。そこで高ホモシステイン血症を発症させたラットを用いて、ホウレンソウによる血中ホモシステイン濃度に与える影響について評価しました。

■ 研究概要
 * 関連資料 参照

■ 用語の説明
動脈硬化
 動脈が狭くなることで血液の流れが悪くなったり、動脈の壁が堅くもろくなってしまう状態を言います。一般にLDL-コレステロールの増加やHDL-コレステロールの減少などが動脈硬化のリスク因子として知られています。それとは別に、ホモシステインの増加も独立した動脈硬化のリスク因子の1つといわれています。

メチオニン
 人が体内で作り出すことのできない必須アミノ酸の1つです。肝臓中でいくつかの中間代謝物を経たのち、システインへと代謝されます。

ホモシステイン
 メチオニンがシステインに代謝されるときに中間代謝物として生成します。血中濃度が高まる高ホモシステイン血症は、動脈硬化のリスク因子であるといわれています。

ベタイン
 アミノ酸の一種であり、植物ではアカザ科に多く含まれます。アカザ科の野菜にはホウレンソウなどがあります。ベタインはメチル基を供与することによって、ホモシステインからメチオニンへの代謝を促します。

BHMT(ベタイン-ホモシステインS-メチルトランスフェラーゼ)
 ベタインのメチル基をホモシステインに転移させる酵素です。肝臓中でホモシステインからメチオニンへの代謝を促します。

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カゴメ、リコピンに血中アディポネクチンを増加させる作用を確認など研究成果を発表
リコピンに血中アディポネクチンを増加させる作用を確認
~メタボリックシンドロームの予防に期待~
カゴメ、北海道大学の共同研究


 カゴメ株式会社経営企画本部総合研究所(栃木県那須塩原市)は、北海道大学(北海道函館市) 宮下和夫教授との共同研究で、リコピンに血中アディポネクチンを増加させる作用があることを、動物を用いた試験で確認しました。今回の研究成果から、トマトの摂取によるメタボリックシンドロームの予防作用が期待できます。本研究内容は、第13回日本フードファクター学会総会・学術集会(11月17~18日タワーホール船堀)において発表いたします。


■共同研究者北海道大学宮下和夫教授のコメント
 脂肪組織は単なるエネルギーの蓄積器官にとどまらず、様々なアディポサイトカインという生理活性タンパク質を分泌し、身体全体に影響を与えていることが分かってきました。内臓脂肪型肥満によって、脂肪細胞が過剰に肥大すると、これらアディポサイトカインの分泌に変化が生じます。
 善玉のアディポサイトカインといわれるアディポネクチンは減少し、メタボリックシンドロームが進行する原因となります。よって、アディポネクチンはメタボリックシンドロームの予防に重要な役割を担っていると考えられます。今回、トマトの色素であるリコピンに血中アディポネクチンを増加させる作用を確認しました。メタボリックシンドロームは様々な疾病リスクが高まる状態です。血中アディポネクチンの増加に寄与することは、疾病リスクを低下させるうえで重要だと考えられます。


■研究の背景
 最近、内臓脂肪型肥満が原因で高血糖、脂質異常症および高血圧の状態となるメタボリックシンドロームが問題となっています。厚生労働省の調査により、メタボリックシンドロームは予備群も含め、中高年世代で2000 万人近いことが報告されています。この問題に対し、平成20年度からは特定健康診査・特定保健指導が開始されるなど、メタボリックシンドロームの予防は健康を保つために重要です。

 アディポネクチンは脂肪細胞でつくられるアディポサイトカインの一種であり、糖尿病や動脈硬化を予防・改善する作用があります。しかし、内臓脂肪型肥満になるとアディポネクチンは減少し、メタボリックシンドロームがさらに進行してしまいます。そこで、メタボリックシンドローム予防対策として血中アディポネクチン濃度に注目し、リコピンが血中アディポネクチン濃度に与える影響を評価しました。

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カゴメ、紫人参のアセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用を確認など研究成果を発表
紫人参にアセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用を確認

アルツハイマー型認知症の改善に期待

カゴメ、野菜茶業研究所の共同研究


 カゴメ株式会社経営企画本部総合研究所(栃木県那須塩原市)は、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所(三重県津市:所長望月龍也)との共同研究で、紫人参のアセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用を確認しました。今回の研究成果より、紫人参のアルツハイマー型認知症の改善が期待できます。本研究内容は、第13回日本フードファクター学会総会・学術集会(11月17~18日タワーホール船堀)において発表いたします。

■カゴメ研究者のコメント
 紫人参に、アルツハイマー型認知症の治療薬と同様のアセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用が確認されました。この作用をもたらす物質が何かはまだ不明ですが、紫人参にはアントシアニンという紫色の色素が含まれていることから、アントシアニンによるものではないかと考えられます。紫人参を摂取することで、アルツハイマー型認知症での脳機能の維持、症状の進行抑制が期待できます。

■研究の背景
 近年、生活習慣病予防の観点から、食生活の改善が重要視されており、特に野菜の摂取は注目されている項目です。厚生労働省が発表した21 世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」では、野菜を一日350g以上摂取することを目標としています。しかし、平成18 年の「国民健康・栄養調査」結果では、野菜摂取量の平均は303.4gで、「健康日本21」が定める目標値に対し大きく不足しています。

 野菜にはさまざまな健康に寄与する成分が含まれていることが近年の研究で明らかになってきていますが、カゴメでは特に野菜の色に注目し、赤、黄・橙、緑、紫の4色の野菜の機能性について研究を進めてきました。その中で、紫色の野菜に含まれるアントシアニンは、高い抗酸化能を有していることが報告され、その効用として眼や肝臓に対する報告があります。我々は、紫野菜の摂取による効果の中で、これまで報告の少ない脳神経に関する機能に着目しました。

 神経細胞に与える紫野菜の影響を検討すべく、アルツハイマー型認知症改善機能の評価に用いられるヒト神経芽細胞腫を用いた試験系にて、紫人参のアセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用を評価しました。


■研究概要

≪目的≫
 紫人参が神経細胞でのアセチルコリンエステラーゼ活性に与える影響について解明するため、ヒト神経芽細胞腫SK-N-SHを用い、アセチルコリンエステラーゼ活性を評価しました。

≪方法≫
 ヒト神経芽細胞腫SK-N-SHをFBS10%添加F12/E-MEM(1:1)培地で培養し、評価に用いました。被験物質として、アントシアニンを多量に含む紫人参を用いました。紫人参は乾燥粉末を用い、その20%エタノール抽出物を調製しました。無血清培地に容量を変えて添加し、その培地で1 日培養後の細胞中のアセチルコリンエステラーゼ活性を測定しました。アセチルコリンエステラーゼ活性はEllman法、およびELISA法で測定しました。ポジティブコントロールとして、既にアセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用が確認されているメチルネオスティグミンを用いました。

図 紫人参のアセチルコリンエステラーゼ活性への影響(※ 関連資料参照)

≪結果≫
 図は、紫人参あるいはポジティブコントロールを添加した際のアセチルコリンエステラーゼ活性を示しています。紫人参の添加により、アセチルコリンエステラーゼ活性は有意に減少し、活性阻害作用を確認いたしました。また、添加する紫人参の量を増やしたところ、アセチルコリンエステラーゼ活性阻害作用が強くなる傾向が確認されました。
 よって、紫人参はシナプス間隙(かんげき)でのアセチルコリンによる情報伝達を促進することによって、アルツハイマー型認知症での神経伝達を促進する可能性が示されました。
 今後は作用物質を明らかにすると共に、メカニズムの解明に取り組んでいく予定です。


■用語の説明

紫人参
 ヨーロッパで栽培、消費されている人参で、紫色の色素であるアントシアニンを多く含みます。

アントシアニン
 ポリフェノールの一種です。pH により色が変わり、一般的に酸性で赤紫、アルカリ性で青紫になります。ブルーベリーやカシス、ナスの皮などに含まれており、活性酸素を消去する抗酸化能を持っています。

活性酸素
 酸素分子から派生する、酸化力が強い物質の総称で、体中では細菌に対する攻撃やエネルギー産生に関与していますが、過剰に存在すると生活習慣病の原因になります。

抗酸化能
 活性酸素からの攻撃を守る力です。抗酸化物質は活性酸素と反応し、反応性の低い物質に代わることで、脂質やタンパク質などを活性酸素の攻撃から守る働きを持っています。

アルツハイマー型認知症
 認知症の一種で、記憶や学習といった脳機能が低下する病気です。治療法は様々なものがありますが、アセチルコリンエステラーゼ活性阻害剤はその代表的な治療剤の1つです。

アセチルコリン
 神経細胞同士が刺激を電気信号として伝えることにより、手足の感覚を脳に伝えたり、脳での記憶や思考を行っています。神経細胞の間はシナプス間隙と呼ばれ、神経細胞から分泌された神経伝達物質が、次の神経細胞に刺激を伝えます。この神経伝達物質にはいくつかの物質がありますが、その1つがアセチルコリンです。

アセチルコリンエステラーゼ活性
 アセチルコリンは、神経伝達物質としての役割を終えた後、アセチルコリンエステラーゼという酵素により分解されます。アルツハイマー型認知症では、神経細胞に障害が起こり、神経刺激が伝わりにくい状態となっています。アセチルコリンエステラーゼ活性を阻害することにより、シナプス間隙の神経伝達物質の量が増加し、神経刺激が伝わりやすい状態になると考えられています。


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理化学研究所、アレルギー性ぜんそくなど気道性過敏症発症をひき起こす細胞を発見
アレルギー性ぜんそくなど、気道過敏症をひき起こす悪玉細胞を発見
- アレルギー・炎症性疾患の根治が大きく前進 -



◇ポイント◇
 ・IL-17RB陽性NKT細胞が、気道性過敏症発症をひき起こす細胞と判明
 ・抗IL-17RB抗体投与で、マウスのアレルギー気道炎症を抑制
 ・IL-25・IL-17RBが、抗アレルギー・炎症性疾患薬の新しい創薬ターゲットに


 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、気道過敏症(※1)発症に中心的な役割をする細胞が、インターロイキン(※2)-17レセプターB(IL-17RB)という受容体を発現している一部のナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)(※3)であることを発見し、その分子メカニズムを明らかにしました。理研免疫・アレルギー科学総合研究センター(谷口 克 センター長)免疫制御研究グループの谷口 克グループディレクターと渡会浩志上級研究員らによる研究成果です。
 アレルギー疾患は、日本人の約3割がかかっている国民的な病気です。花粉症、食物アレルギーなど、症状は多岐にわたりますが、中でもアレルギー性ぜんそくは、患者数が約300万人、毎年の死者数が3,000人にも及びます。これまで、アレルギー性ぜんそくの多くは、ダニ・ハウスダスト・花粉などのアレルゲン(※4)や風邪のウイルス、ストレス、タバコの煙、香水の強い香りといった外界からの刺激が引き金となり、これらに対する過敏反応によって、気道過敏症の亢進などを起こし、発作的なぜんそく、咳などの症状をきたすと考えられてきました。しかし、どのようにして、この引き金が引かれ増悪へと向かうのか、具体的なメカニズムは不明なままでした。
 研究チームは、IL-17RBという受容体が、NKT細胞の一部に特異的に発現することを見いだし、この細胞がIL-17RBを介して、そのリガンド(※5)であるIL-25というサイトカイン(※6)に反応し、気道過敏症をひき起こす悪玉細胞であることを明らかにしました。実際に、アレルギーモデルマウスを用いた実験で、IL-17RBを発現したNKT細胞が、気道過敏症発症に関与していることを確認しました。また、このマウスに抗IL-17RB抗体を投与することにより、アレルギー性気道炎症の発症が抑制できることを突き止めました。
 IL-17RBを発現したNKT細胞の機能を人為的に抑制することで、気道過敏症の増悪を抑えられることが明らかになり、社会的要請の高いアレルギー性ぜんそくの克服が可能となります。
 本研究成果は、米国の科学雑誌『Journal of Experimental Medicine』オンライン版(11月17日付け:日本時間11月17日)に掲載されます。


1.背景
 アレルギー疾患は、日本人の約3割がかかっており、国民的な病気の1つとなっています。中でもアレルギー性ぜんそくは、世界保健機関(WHO)のICD(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems:疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の統計によると、患者数は世界で3億人、日本で約300万人と報告され、死亡者数も世界で年間25万人超、日本でも3,000人超にも及び、年々増加の一途をたどっています。これまでぜんそくの多くは、ダニ・ハウスダスト・花粉などのアレルゲンや風邪のウイルス、ストレス、タバコの煙、香水の強い香りといった外界からの刺激が要因と考えられてきました。増悪した慢性のアレルギー性ぜんそくの基本病態としては、2型ヘルパーT(Th2)細胞、好酸球、肥満細胞と呼ばれる一群の炎症細胞が中心的な役割を担っており、IL-4、IL-5、IL-13といったTh2細胞から分泌されるサイトカインが、気道炎症、杯(さかずき)細胞からの気道粘膜分泌、気道上皮細胞の損傷と再構築による肥厚などをひき起こすことが知られています。しかし、このような病態形成に至る発症の分子メカニズムやアレルギー性ぜんそくの引き金となる細胞などは不明のままでした。


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理化学研究所、ゲノムに変化をもたらす新たなDNA組換えの抑制機構を解明
ゲノムに変化をもたらす新たなDNA組換えの抑制機構を解明
- 進化をもたらす遺伝情報の多様化と現状維持の分岐を制御 -


◇ポイント◇ 
・ DNA組換えを抑制する新規 DNA切断酵素「MutS2」を同定、構造と機能を解析
・ 組換え反応の初期に中間体の切断でDNA組換えを抑制
・ 生命の進化や病気のリスク回避など、生命の重要な選択を解く鍵を得る

 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、85℃という高温で生育し、進化の起源に近いと考えられる高度好熱菌サーマス・サーモフィラス(※1)を利用して、生命現象の根幹であるDNA組換え反応(※2)の初期の中間体構造を好んで切断する酵素を同定し、新規のDNA組換え抑制機構を明らかにしました。この機構は、ゲノム情報(遺伝情報)の安定化に寄与するもので、進化か危機回避かの生命の重要な選択を制御すると考えられます。これは、理研放射光科学総合研究センター(石川哲也センター長)放射光システム生物学研究グループの福井健二研究員、北村吉章リサーチアシスタント、倉光成紀グループディレクターらが「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト(※3)」で行った研究成果です。
 生命の遺伝情報はDNAに書き込まれており、これが書き換えられることは進化の原動力となる一方で、細胞死やがん化の危険性を伴います。遺伝情報書き換えの要因の1つは、一方のDNAの情報と他方のDNAの情報を交換する「DNA組換え反応」です。研究グループは、サーマス・サーモフィラスの機能未知タンパク質「MutS2」が、細胞内でDNA組換え反応を抑制する働きをしていることを明らかにし、その立体構造を大型放射光施設 SPring-8(※4)を用いて決定しました。さらに、分子機能解析によって、MutS2タンパク質が組換え反応の初期に生じる中間体を切断することで、DNA組換え反応を抑制することを見いだしました。遺伝情報を更新して進化の可能性を探るのか、現状を維持するのか、生命にとって重要な選択をコントロールするのが、MutS2タンパク質であると考えられます。
 本研究成果は、米国の科学雑誌『Journal of Biological Chemistry』(11月28日号)に掲載されるに先立ち、オンライン版(11月21日付け)に掲載されます。

1. 背景
 研究グループは、タンパク質をはじめとする生体分子の立体構造と機能に基づいて、1つの細胞におけるすべての生命現象を、システム全体として理解しようと研究を展開しています。1999年には「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト」を立ち上げ、(1)遺伝子数が約2,200と少ない(ヒトは約23,000個、大腸菌は約4,500個)(2)厳しい環境に生きているためタンパク質が丈夫(3)遺伝子を操作する方法が確立されている、などの特徴から、モデル生物として、85℃という極限環境で生育できる高度好熱菌サーマス・サーモフィラスHB8株を選びました。サーマス・サーモフィラスHB8株は、あらゆる生物に共通して存在しいまだに役割がわからない約500種類のタンパク質を持っています。従って、これらのタンパク質の機能を明らかにすることは、サーマス・サーモフィラスHB8株細胞内のすべての生命現象をシステム全体として理解するために欠かせないだけでなく、ヒト由来タンパク質のように、解析が困難なタンパク質の機能の理解につながることになります。
 生命の遺伝情報はDNAに書き込まれており、これが書き換えられることは進化の原動力となる一方で、細胞死や老化、がん化の危険性を伴います。従って、細胞内のDNAは、さまざまな要因により絶えず書き換えの機会を得ると同時に、書き換えを防ぐ多様な機構を備えています。遺伝情報の書き換えの要因の1つは、一方のDNAの情報と他方のDNAの情報を入れ換える「DNA組換え」と呼ばれる反応です。この反応は、細菌においては外来DNAの取り込みによる新しい薬剤耐性遺伝子の獲得、ヒトにおいては減数分裂期(精子や卵などの生殖細胞ができるときに起きる細胞の分裂期)の相同染色体(2個ずつ対になっている同形同大の染色体)の入れ換えなど、遺伝情報の多様化になくてはならないものですが、同時に、細胞死やがん化の危険性を伴うため、厳密に制御される必要があります。
 研究グループは、サーマス・サーモフィラスHB8株の機能未知のタンパク質に注目し、X線結晶構造解析および生化学的手法を用いて、DNA組換え制御機構の解析を行いました。

2. 研究手法と成果
(1) 新たなDNA組換え抑制酵素「MutS2タンパク質」を同定
 細菌が、組換え反応により外来のDNAを自身のゲノムに取り込むと、薬剤に対する耐性を獲得します。従って、薬剤耐性株の出現率を調べると、DNA組換え反応の効率がわかります。研究グループは、この方法を用いて、サーマス・サーモフィラスHB8株由来のmutS2遺伝子欠損株と、野生株の組換え反応の効率を比較しました。mutS2遺伝子欠損株は、野生株より高い組換え効率を示し、機能未知のタンパク質MutS2が細胞内でDNA組換えを抑制していることが明らかになりました(図1)。このタンパク質は、それまで知られていたDNA組換え抑制酵素が持つアミノ酸配列と似ていなかったため、新たな組換え抑制機構の酵素として働くと考えました。

(2) 原子レベルの分解能でMutS2タンパク質をイメージング
 SPring-8の理研ビームラインBL26B2を用いて、MutS2タンパク質のX線結晶構造を解析しました。その結果、MutS2タンパク質の部分構造は、既知のDNA/RNA切断酵素と非常によく似ていることが判明しました(図2)。さらに、生化学的な手法を用いてMutS2タンパク質によるDNAの切断活性を調べたところ、MutS2タンパク質は、2本鎖DNA、特にDNA組換え反応における初期の中間体構造を好んで切断しました(図3)。これらの結果から、MutS2タンパク質が、反応の中間体を切断するという、これまで知られていなかった直接的で新規な組換え抑制機構(図4)を見いだしたことになりました。
 DNA組換えによってもたらされるゲノムの変化は、進化の原動力となりますが、それは同時に細胞死やがん化など生命の危機を伴うものです。DNAを組換えて新たな遺伝情報を獲得して進化するのか、それとも現状を維持して生き延びるのか、生命にとって重要な選択をコントロールするのがMutS2タンパク質といえます。
 また、MutS2タンパク質のDNA/RNA 切断酵素と似た領域に相当するタンパク質は、細菌からヒトまでほとんどすべての生物に保存されていますが、そのすべてが機能未知のタンパク質です。今回の解析結果は、それらのタンパク質の細胞内での役割についても手がかりを与えるものとなりました。

3. 今後の期待
 ヒトでは、MutS2タンパク質部分構造とアミノ酸配列が、非常に似た部分構造を持ったタンパク質「BCL3 - 結合タンパク質」が存在します。BCL3タンパク質は、ヒトの乳がんやマウスの皮膚がんなど、がん化した細胞において発現量が増加していることが知られており、BCL3 - 結合タンパク質のゲノム安定性維持機構への関与が疑われています。アミノ酸配列の高い相同性は、同じ機能を持つことを示唆するため、ヒトなどの高等生物においても、高度好熱菌と同様の反応機構がゲノム情報の維持を担っている可能性が考えられます。
 高度好熱菌に存在する約500種類の「あらゆる生物に共通して存在しながら機能のわかっていないタンパク質」の機能を明らかにすることは、細胞内のあらゆる生命現象をシステムとして理解することに必須であり、それは同時に、ヒトを含めた高等生物における生命現象の理解にもつながると期待されます。



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理化学研究所、右脳と左脳の神経構造レベルの違いを発見
右脳と左脳の構造の違いを発見
-記憶をつかさどる海馬に違い-



 ヒトの右脳と左脳の機能的な違いについては、例えば言葉は左脳優位、空間認知は右脳優位、と知られています。しかし、神経のつながり方が右脳と左脳でどのように違うのか、を明らかにした研究はありませんでした。今回、JST基礎研究事業の一環として、自然科学研究機構 生理学研究所の篠原 良章 研究員(現・理化学研究所)は、重本 隆一 教授のもと、記憶形成をつかさどる部位(海馬(注1))では神経のシナプス(注2)(神経と神経のつなぎ目)の形や大きさが右脳と左脳で異なることを明らかにしました。この成果は、右脳と左脳の働きの違いのメカニズム解明につながると期待できます。本研究は、理化学研究所との共同研究による成果で、11月17日(米国東部時間)の週に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」(電子版)に掲載されます。
 研究チームはこれまで、シナプスにあるグルタミン酸受容体(注3)(神経の間の信号の受け手のたんぱく質)の量の左右差について研究してきました。今回、新しく、左脳と右脳の海馬でシナプスの形や大きさが違うことを初めて見いだしました。また、シナプスの形や大きさによって、グルタミン酸受容体の量と種類にも違いがあることが分かりました。こうしたグルタミン酸受容体の量と種類は、記憶を形成する上で非常に重要な役割を担っていると考えられています。「右脳と左脳のシナプスは同じ」という説もありますが、そうではないことが分かりました。
 重本教授は、「記憶の原理として注目される“長期増強(LTP)(注4)”という現象は、シナプスのグルタミン酸受容体の量と種類に影響されるので、左脳より右脳で起こりやすいのかもしれません。この研究を足がかりにすれば、右脳と左脳の機能が実際に違う理由を科学的に説明できるようになるのではないか」と話しています。


<研究の背景と経緯>
 ●右脳と左脳の違いは何?
  一般的によく言われる右脳と左脳の機能の違いについては、数多くの心理学的な実験から明らかになっています。例えば左右の脳の機能的な違いは、言葉は左脳優位、空間認知は右脳優位、と知られています。しかし、この機能的な違いを、脳の神経の構造レベルに着目して研究した例はありませんでした。具体的には、脳の中の神経のつながり方など、細かい構造の違いや、つながり方の違いは分かっていませんでした。
  神経は、シナプスというつなぎ目で他の神経へ情報を伝えています。この時、主に使われている神経伝達物質(神経の間の信号である化学物質)がグルタミン酸です。シナプスにはグルタミン酸を感じるたんぱく質「グルタミン酸受容体」が存在し、その機能と構造の違いにより複数に分類されています。
  本研究チームはこれまでに、右脳と左脳では、このグルタミン酸受容体のたんぱく質の分子が異なる配置をとっていることを明らかにしました(2003年にScience誌で掲載など)。ただ実際に、こうした分子配置の違いが、神経のつながり方やシナプスといった脳の微細構造の中で、どのような違いや意味があるのかは分かっていませんでした。


<研究の内容>
 本研究チームは今回、脳の中の記憶をつかさどる海馬におけるシナプスの形や大きさ、その右脳と左脳での違いを、電子顕微鏡を用いてミクロの構造レベルで明かにしました。
 海馬(特にCA1と呼ばれる場所)にある神経シナプスの形を調べたところ、色々な大きさのものがあり、小さなものや、大きなマッシュルーム型のものも見つかりました(図1)。
 そして、このシナプスの大きさの違いは、そのシナプスに存在するグルタミン酸受容体のたんぱく質の分子の数(密度)の違いと関係していることが分かりました。また小さいシナプスと大きいシナプスでは、豊富に含まれるグルタミン酸受容体の種類も異なっていました(図2)。
 シナプスのつながり方を調べたところ、左脳と右脳では、つながり方によってシナプスの大きさと受容体の密度が左右非対称になっていることが分かりました(図3)。例えば、左脳では同じ左脳からの信号(海馬CA3領域からの信号)を受け取るシナプスは小さく、反対側の右脳からの信号を受け取るシナプスは大きくなっていました。また、右脳ではそれと正反対になっていました。
 なお、本研究はJST 戦略的創造研究推進事業 発展研究(SORST)における研究課題「記憶の脳内表現と長期定着のメカニズム」(研究代表者:重本 隆一 教授)の一環として実施されました。

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理化学研究所や国立がんセンターなど、8種類のがんのゲノム変異を包括的で高精度な解析を開始
国際がんゲノムコンソーシアムが、8種類のがんゲノムプロジェクトを開始
- 理研、国立がんセンター、医薬基盤研究所など8カ国11機関が解析に着手 -


 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)、国立がんセンター(廣橋説雄総長)および独立行政法人医薬基盤研究所(山西弘一理事長)が参加し、主要ながんのゲノム変異(異常)カタログを作成するための国際共同プロジェクト「国際がんゲノムコンソーシアム」(International Cancer Genome Consortium:ICGC)は、2008年11月18日(火)午前8時(日本時間同日午後10時)、参加機関のうち8カ国の11機関が、ICGCで取り組む最初のプロジェクトとして、肝炎ウイルス関連肝臓がんなど8種類のがんのゲノム変異について、包括的で高精度な解析を開始すると発表しました。
 がんの患者数は、先進国、発展途上国を問わず世界中で急速に増加しており、がん罹患の早期発見やがん死の減少が人類社会にとって喫緊の課題となっています。がんは、かつては1種類の疾患と考えられていましたが、現在では多くの病態から成り立っているという実態が明らかになっています。しかし、ほとんどすべてのがんでは、共通して遺伝子の設計図であるゲノムに異常(変異)が生じ、正常な分子経路が破綻した結果、無秩序な細胞増殖をきたすことが分かっています。さらに、特定のがんや病態では、特徴的なゲノム変異が認められることが明らかになっています。このため、それぞれのがんに生じたゲノム変異を網羅的に同定し、カタログ化することができると、新たな予防・診断・治療法を開発するための基盤となる可能性が高まり、大きな期待が集まっています。
 このような状況の中、2008年4月、世界各国を通じて臨床的に重要ながんを選定し、国際協力でそれらのがんについてゲノム変異の姿を明らかにするため国際共同プロジェクトとして発足したのがICGCです。ICGCの各メンバーは、ICGCの定めたデータ収集・解析に関する共通基準に従い、特定のがんに関する各種ゲノム変異の包括的かつ高精度な解析を分担します。
 2008年11月15日から17日まで、米国ワシントン近郊で米国国立衛生研究所(NIH)を幹事としてICGCワークショップが開催され、肝炎ウイルス関連肝臓がん(日本)、胃がん(中国)、すい臓がん(カナダ)など、ICGCによって開始される初のがんゲノムプロジェクトが決定しました。
 ICGCのプロジェクトで産出されるがんゲノム変異のカタログは、がんの予防・診断・治療の新規かつ有効な方法を開発しようとしているすべての研究者にとって、極めて貴重な情報源となることが期待されます。ICGCでは、得られた高精度のゲノム変異データを世界中の研究者に迅速かつ無償で提供する予定です。


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NEDOと産総研、有機色素による高性能色素増感型太陽電池を開発
有機色素による高性能色素増感型太陽電池を開発

 次世代太陽電池として期待される色素増感型において光吸収材料に新規開発の有機色素(MK-2(注1))を採用。

 従来型のルテニウム系のように希少金属を含まないため低コストで製造できるだけでなく、 高効率、高耐久性も実現した。 


【新規発表事項】

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、独立行政法人産業技術総合研究所の研究員、原浩二郎と甲村長利は、次世代太陽電池として有望視される高性能な有機色素による色素増感型太陽電池を開発しました。

 本技術は、現在、主流となっているシリコン太陽電池が抱えている問題である製造コストと高純度シリコンの供給不安の両方の解決策となり得る、新規次世代太陽電池です。経済産業省の技術戦略マップ2008では、2020~2030年までに本格実用化とそれによる太陽電池の発電価格の大幅低減が期待される革新的太陽光発電技術として位置づけられています。

 従来の色素増感太陽電池に用いられていたルテニウム錯体を使用しないため、希少金属であるルテニウムの資源的制約をクリアしています。またイオン液体電解液の使用により、低沸点の有機溶媒系電解液では耐久性が100時間以下であったものが、2000時間以上の耐久性を得ることに成功しました。

 更に、色素増感太陽電池(イオン液体電解液(注2)タイプ)としては世界最高レベルの変換効率7.6%(セル効率)の高効率を達成し、イオンゲル電解質(注3)タイプでも5.5%の効率を得ることに成功しており、革新的な太陽光発電技術として実用化が期待されます。


(注1)MK-2とは、2-Cyano-3-[5’’’-(9-ethyl-9H-carbazol-3-yl)-3’,3’’,3’’’,4-tetra-n-hexyl-[2,2’,5’,2’’,5’’,2’’’]-quarter thiophenyl-5-yl]acrylic acidのこと。カルバゾール、オリゴヘキシルチオフェン、シアノアクリル酸基からなるドナー・アクセプター型の有機色素分子で、カルバゾール骨格が電子供与部位で、シアノアクリル酸基が電子吸引性部位として機能します。

(注2)イオン液体電解液とは、イミダゾリウムのヨウ化物などのイオン液体とヨウ素レドックスイオンをベースとする電解液です。
(注3)イオンゲル電解質とは、上記イオン液体電解液にゲル化剤(例えば、Poly(pyridinium-1,4-diyliminocarbonyl-1,4-phenylene-methylene iodide)など)を加えて擬固体化した電解質。 

 図3.有機電解質オリゴマーゲル化剤の構造
   (※関連資料参照)

 産総研プレス発表 http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070525/pr20070525.html
 特許PCT/JP2006/301402
 

1.研究成果概要 
 環境負荷を低減する次世代太陽電池のひとつとして、色素増感太陽電池の実用化に向けた研究開発が活発になっています。しかし、従来型の色素増感太陽電池は希少金属であるルテニウム錯体を光吸収材料として用いるため、資源的制約による価格高騰が問題になると予測されます。また、揮発性の有機溶媒を含むヨウ素レドックス電解液(ヨウ素やヨウ化物イオンを含む)を用いており、セルの耐久性の向上が課題となっています。 

 本プロジェクトでは高効率化と同時にこれらの問題点を解決するため、ルテニウム錯体の代替となる新規の有機色素光吸収材料(MK-2)を開発するとともに、有機電解質オリゴマー(注4)構造を有するゲル化剤(平成17年度第2回産業技術研究助成事業、簡便に合成可能な新規電解質ゲル化剤およびそれを用いた高機能ハイブリッドゲルの開発(研究代表者、産業技術総合研究所、吉田勝氏)の研究成果)と難揮発性のイオン性液体からなる新規の電解質を用いることで、新規有機色素太陽電池を開発しました。 

 新規有機色素の開発には、分子設計技術を援用して最適化を行いました。クマリン色素(注5)は8%という高効率(有機溶媒系電解液を使用)が得られますが、色素から酸化チタン電極への電子移動効率が低いことや電子寿命が短いことなどがわかったため、新たにMK色素(カルバゾール色素(注6))を合成し、この問題を解決しました。

 また、イオン液体電解液とイオンゲル電解質を組み合わせることで、高効率を保ちつつ十分な耐久性を得ることができました。

(注4)有機電解質オリゴマー:有機塩モノマー(単量体)が複数連なった構造をもつ分子。有機塩モノマーの数は3から30と比較的少数。

(注5)クマリン色素:クマリン骨格を電子供与部位として、これに電子吸引性部位であるシアノアクリル酸基などを連結した有機色素分子。(図4参照)

(注6)カルバゾール色素:カルバゾール骨格を電子供与部位として、これに電子吸引性部位であるシアノアクリル酸基などを連結した有機色素分子。(図4参照) 

 図4.クマリン骨格(1)、カルバゾール骨格(2)、シアノアクリル酸基(3)の構造(Rは置換基)
    (※関連資料参照)


2.競合技術への強み

1)高効率:新規に設計・合成したMK-2色素とイオン液体電解液を組み合わせることで、7.6%の変換効率を達成しました(現在、イオン液体電解液を用いた色素増感太陽電池で世界最高レベル)。 
 
2)高耐久性:紫外線がカットされた擬似太陽光照射という比較的穏和な条件下では、十分な耐久性を有します。また難揮発性のイオン液体電解液を使用することで比較的高温下でも性能劣化の心配がありません(イオン液体の難揮発性が耐久性の向上に寄与)。 
 
3)資源的制約がない:希少金属であるルテニウムとは異なり、資源的制約の少ない有機材料を使用しています。
 
4)低コスト:セルの作製方法が簡単で、材料も安価なことから低コストで製造できます。
 
  表1.結晶系シリコン太陽電池(既存技術)と有機系色素増感太陽電池(本技術)との比較表 
    (※関連資料参照)


3.今後の展望
 エネルギー変換効率については、最終的にはセル効率18%、モジュールでは15%(結晶シリコン系の効率に相当)を目指します(NEDOの太陽光発電ロードマップPV2030における、色素増感太陽電池の2030年での目標値)。当面は屋内用途での早期実用化を目標として、さらなる効率や耐久性の向上を目指していく予定です。そのため、新規有機色素の分子設計と合成、イオン液体やゲル電解質の研究開発の他、新規の電極材料の開発についても連携企業と共同で研究開発に取り組んでいきます。

 また実用化に向けて、大面積モジュール化技術等についても共同研究を進めていく予定です。


関連情報一覧 
 http://www.aist.go.jp/db_j/list/relation.php?&co=8353



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東北大学、インスリン分泌細胞を増殖させる神経ネットワークを発見
インスリン分泌細胞を増殖させる神経ネットワークを発見

糖尿病の再生治療に応用性


 東北大学大学院医学系研究科創生応用医学研究センター・片桐秀樹教授、分子代謝病態学分野・岡芳知教授らのグループは、肝臓からの神経ネットワークにより膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)が増殖することを発見し、さらにこの仕組みを刺激することで糖尿病を治療できることを見出した。この研究成果は、米国科学誌サイエンス(米国時間11月21日号)に掲載予定である。

 肥満になるとインスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)が、この時、膵臓にあるβ細胞が増殖し、多くのインスリンを分泌して血糖値の上昇を防ごうとする。本研究グループは、この体に備わった糖尿病予防機構を解明し、「肝臓が、肥満状況を感知し神経シグナルを発して脳にインスリンを増やす必要性を伝え、それを受けて脳は、膵臓に向かう神経を使って、膵臓のβ細胞を増殖させる」という臓器間の神経ネットワークを発見した。これは、神経系、特に脳が、血糖値などの全身の代謝調節を行っていることを見出したもので、メタボリックシンドロームの解明にも意義深い。

 一方で、この反応が不十分だったり膵臓のβ細胞が減少したりして、インスリンの分泌が悪くなると、糖尿病となる。そこで、本研究グループは、インスリン分泌の低下した糖尿病のモデル動物でこの神経ネットワークを刺激してみた。すると、β細胞が増殖しインスリン分泌が改善、糖尿病を治療することができた。インスリン注射を行っている糖尿病患者は国内だけでも60万人を超えるといわれ、このような患者にとって、β細胞の再生につながる本研究は、大きな福音となるものと期待される。

 現在、ES細胞やiPS細胞といった多分化能をもつ細胞を試験管内で分化させて移植することが再生治療研究の主流と捉える向きもある。しかし、本研究は、神経ネットワークという体に元来備わっている仕組みを発見し、それを刺激することで、障害を受けた臓器を体内で再生させるという全く新しい概念での「再生」医療を切り開く可能性が考えられる。



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細胞から脳を作る
ヒトES細胞から層構造を持った大脳皮質組織の産生に成功
- 次世代の幹細胞医学応用を大きく拓く組織形成技術 -



◇ポイント◇
 ・ES細胞から、70%の高効率で大脳皮質組織を試験管内で産生
 ・生体に似た立体構造と特有の神経活動を持つ大脳皮質組織を世界で初めて産生
 ・異なる大脳皮質の領域を選択的に分化誘導する技術を開発


 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、マウスおよびヒトES細胞(※1)から脳の高次機能をつかさどる大脳皮質(※2)組織を、生体に近い立体構造で産生し、特有の神経活動の一部を再現することに世界で初めて成功しました。発生・再生科学総合研究センター(竹市雅俊センター長)細胞分化・器官発生研究グループの笹井芳樹グループディレクター、永楽元次研究員を中心とした研究グループの成果です。
 研究グループは、これまでマウスおよびヒトES細胞から多様な中枢神経系の神経細胞などを試験管内で分化させる研究してきました。しかし、これまでの研究では、個々の神経細胞の分化を制御することが主で、多くの神経細胞などが整然と集合して機能する「神経組織」の形成は困難でした。
 今回、研究グループは、これまでに開発していたES細胞からの大脳分化のための無血清浮遊培養法(SFEB法)を改良した「SFEBq法」を新たに開発し、従来の倍以上となる70%の効率で大脳皮質前駆細胞(※3)の分化誘導を可能としました。この大脳皮質前駆細胞を立体的にで浮遊培養(※4)し続け、大脳皮質に特有の層構造(※5)を持った立体組織の形成に成功しました。特にヒトES細胞から分化させたものでは、ヒト胎児の大脳皮質とよく似た4層の組織構造(成人の皮質は6層)を作製することができました。また、この方法で形成した大脳皮質組織は、一定の神経ネットワークを形成し、大脳に特有の同期した神経活動を自発的に行うことから、誘導した大脳皮質組織が生体組織に似た神経活動の一部を示すことも分かりました。さらに、異なった誘導因子を加えることで、大脳皮質の中でも運動野周辺の領域、視覚野周辺の領域、嗅覚の中継をする嗅脳、記憶をつかさどる海馬周辺領域の4つの特徴を持った神経組織を、選択的に分化誘導することにも成功しました。
 この研究成果は、組織を用いた次世代の再生医療や創薬研究などに貢献することが期待されます。また、試験管内での神経組織の自己組織化を明らかにした点でも大きな意義があります。
 本研究成果は、一部を文部科学省「再生医療の実現化プロジェクト」の一環として行い、米国科学誌『Cell Stem Cell』オンライン版(11月6日付け)に掲載予定です。また、『Cell Stem Cell』誌は11月号の表紙に、SFEBq法でヒトES細胞から自己組織化的に形成された大脳皮質組織を取り上げます。



1.背景
 大脳皮質は、運動と感覚を統合的に制御し、記憶・意識などをつかさどる脳の高次機能の「最高中枢」です。その機能異常は、アルツハイマー病、てんかん、知能障害、運動障害、意識障害、精神病などをはじめとする重篤な脳障害を引き起こします。また、脳血管障害(脳出血、脳梗塞)や頭部外傷でも、大脳皮質に重度の障害が引き起こされ、手足の麻痺などの後遺症を残すことも多くあります。成人の大脳皮質は、複雑な6層構造になっていますが(図1)、妊娠中期までの胎児の大脳皮質は4つの層から成り立っています。こうした層状の構造は、大脳皮質の高度な機能に必須であることが分かっています。
 研究グループはこれまで、マウスやヒトES細胞を用いて、試験管内で選択的な神経細胞へ分化させる培養法を複数開発し、大脳前駆細胞、中脳ドーパミン神経細胞、小脳ニューロン、網膜細胞などの分化誘導に成功してきました。しかし、これら従来の分化誘導研究では、個々の種類の神経細胞を効率よく分化誘導しても、それらが機能的に集合し、整然とした構造を形成してできる「神経組織」を産生することができませんでした。
 今回、研究グループがすでに開発していたES細胞からの大脳前駆細胞への分化誘導法(SFEB法)を改良することで、大脳皮質神経細胞を効率よく分化させ、さらに、生体内で見られるような組織構造を形成させることに挑みました。


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脳の階層性の一側面
行動に必要な脳の機能的な階層性に新たに活動時間のメカニズムを導入
- 複雑で多様な行動をスムーズに学習する脳型ロボット開発に新たな道 -



◇ポイント◇
 ・脳が生み出す行為生成に従来の空間的階層メカニズムに代わる新モデルが存在
 ・神経システムの機能的な階層を実現する、一般原理の理解に貢献
 ・神経活動の多時間スケールモデルを実装したヒューマノイドロボットで確かさを確認


 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、動物が行動するとき、脳内で発現するとされている機能的な階層性について、従来の空間的な階層のメカニズムに代わる神経活動の時間スケールによるメカニズムを提案、実際にこのメカニズムを組み込んだロボットが複雑な行動パターンを学習、動作することを確認しました。理研脳科学総合研究センター(田中啓治センター長代行)動的認知行動研究チームの谷淳チームリーダー、山下祐一テクニカルスタッフらによる成果です。
 動物の複雑で多様な行動や運動は、さまざまな場面で繰り返し使われる運動のパーツ(運動プリミティブ(※1))とその柔軟な組み合わせ、という機能的な階層により実現しているとされています。これまでの研究では、この階層は運動プリミティブに相当する低次のモジュールと、それらプリミティブの組み合わせに相当する高次のモジュール、という空間的な階層によるとされてきました(局所表現モデル)。しかし、脳の運動皮質(※2)では、解剖学的に、この局所表現モデルに対応する明確な空間的階層構造は見いだされず、行為生成の機能的な階層が、どのような神経メカニズムによるものかがわかっていませんでした。
 研究チームは、局所表現モデルに代わり、多時間スケールモデルという新しい神経回路モデル(※3)を提案しました。このモデルは、活動の時間スケールが異なる神経細胞(ニューロン)(※4)群の存在を仮定しています。実証には、多時間スケールモデルによって運動が制御される、小型ヒューマノイドロボット(※5)を使用しました。その結果、ロボットが、物体に手を伸ばす、物体をつかむ、物体を上下に動かす、などの運動プリミティブと、その組み合わせを含む複数の行動パターンを学習し、動作することに成功しました。また、学習した運動プリミティブの組み合わせを柔軟に変化することで、ロボットが新しい行動パターンで動作することにも成功しました。モデル化した神経回路の解析の結果、神経活動の時間スケールの違いが、自己組織的に運動プリミティブとその組み合わせの役割を担う、という階層的な機能分化の実現を確認できました。
 今回の結果は、実際の脳における行為生成の神経メカニズムの理解に貢献する可能性があります。さらに、提案した多時間スケールモデルは、これまでのロボットと比較して多様な運動を学習し、それらを柔軟に組み合わせて動作することを可能にしました。このモデルを発展させることで、介護ロボットなど、実社会で活躍しうる、より高度なロボットの開発に貢献できると考えています。
 本研究成果は、科学雑誌『PLoS Computational Biology』(11月7日付け:オンライン版)に公開されます。なおロボット実験はソニー株式会社の協力を得て行われ、研究成果の一部は、文部科学省特定領域研究の科学研究費助成を受けて実施されました。


1.背景
 動物の、複雑で多様な行動や運動は、さまざまな場面で繰り返し使われる運動のパーツ(運動プリミティブ)と、その柔軟な組み合わせ、という機能的な階層性の構造を持っているとされています。例えば、テーブルの上のカップを手に取り、コーヒーを飲むという一連の動作は、カップに手を伸ばす、カップを持ち上げる、持ち上げたカップを口元に持ってくる、といった一連の運動プリミティブと、それらプリミティブの適切な組み合わせで成り立っていると考えられます。この運動プリミティブは、似たような行動を繰り返し経験することによって獲得されると考えられていますが、実際の連続した行動では、明確な運動プリミティブの切れ目はありません。それではどのようなメカニズムによって、連続した運動の中から運動プリミティブが切り出され、またその運動プリミティブがどのように多様な運動パターンとして組み合わされるのでしょうか?
 これまでの研究では、そのような機能的な階層性が、運動プリミティブに相当する低次のモジュールと、それらプリミティブの組み合わせに相当する高次のモジュールという空間的な階層で実現していると考えられてきました(図1A:局所表現モデル)。しかし、この局所表現モデルを組み込んだロボットは、連続した運動の中に似ている部分や重複する部分があると、うまく機能しないことが知られていました。また、脳の運動皮質の解剖学的所見でも、局所表現モデルのような明確な空間的階層構造は見いだされておらず、機能的な階層性の本当の神経メカニズムは謎とされていました。

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大豆イソフラボンは腸内でどうなるのか?
大豆イソフラボンの研究成果を世界に向けて発信
―第8回 国際大豆シンポジウムで発表―



 フジッコ株式会社(代表取締役社長 福井正一)は、大豆イソフラボンに関する共同研究成果について、11月9日(日)~12日(水)、ヒルトン東京(4F菊の間)で開催される第8回国際大豆シンポジウムにおいて発表いたします。これまで当社では、大豆に含まれるイソフラボンの機能性について種々の研究を進めてきました。本シンポジウムでは、大豆のイソフラボン含量に関与する遺伝子領域の研究と、腸内細菌による大豆イソフラボンの代謝に関する研究の成果について、以下4題の発表を行います。


[発表テーマの概要(計4題)]

 1.交雑近縁系統を使用した大豆種子中のイソフラボン含量に関与するゲノム領域の特定
 (Specification of genomic regions associated with isoflavones content in soybean seeds using recombinant inbred lines.)

 [共同研究者]
  ・京都大学大学院 農学研究科 育種学研究室 谷坂隆俊教授
  ・長野県中信農業試験場 畑作育種部 矢ヶ崎和弘主任研究員

 [要旨]
  大豆種子中のイソフラボンの蓄積に関与する遺伝子を明らかすることは、イソフラボンを高含有する大豆品種の開発の効率化につながる。品種「Peking」と「タマホマレ」の交配から得られた94系統を、国内の3地点で栽培し、収穫種子のイソフラボン含量を測定すると同時に、DNAマーカーを用いて遺伝解析を行った。その結果、イソフラボン含量に関与する32のゲノム領域が検出され、このうち3領域は、3栽培地に共通して検出された。一般に、イソフラボン含量は、気温など栽培環境によって影響を受けることが知られているが、本研究で特定された3領域のDNAマーカーは、栽培環境によらずイソフラボンを高含有する品種の選抜育種に役立つと考えられる。


 2.Nested PCR法によるヒト糞便中のエクオール産生菌Adlercreutzia equolifaciensの検出
 (Detection of the equol-producing bacterium Adlercreutzia equolifaciens in human feces by nested PCR method.)
 [共同研究者]
  ・理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室 辨野義己室長
  ・国立健康・栄養研究所 栄養疫学プログラム生体指標プロジェクト 石見佳子プロジェクトリーダー

 [要旨]
  エクオールは、ヒトなどの哺乳動物において、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが腸内常在菌によって変換されてでき、もとのイソフラボンより女性ホルモン様作用や抗酸化作用が強いことが知られている。日本人の約50%程度がエクオール産生能を持つが、エクオール産生菌の分類や腸内での生態は明らかになっていなかった。今回、当社がヒトの腸内から分離し、新属・新種として提唱したAdlercreutzia equolifaciensを糞便中から検出する方法を開発した。52名の閉経後日本人女性のうち14名に本菌が検出され、そのうち10名にエクオール産生能が認められた。以上の結果から、ヒトの腸内常在菌であるA.equolifaciensがエクオール産生能に寄与していると考えられた。


 3.ラット腸内細菌叢によるグリシテインからのエクオール産生(関連する2題を発表)
 ((1)Equol-production from glycitein by rat gut microflora.)
 ((2)Isolation and identification of equol-producing bacterial strains from rat feces.)

 [共同研究者]
  ・静岡県立大学 薬学部 薬品資源学教室 石田均司講師

 [要旨]
  (1)これまで、エクオールはダイゼインが腸内細菌に変換されてできると考えられてきた。今回、ラットを用いて、エクオールが大豆の胚軸に配糖体として多く含まれるグリシテインからも生成されることを明らかにした。
  (2)ラット糞便からエクオール産生菌を分離した。遺伝子解析の結果、分離株はA.equolifaciensに同定された。さらに、分離株はダイゼインだけでなく、グリシテインのヒト腸内代謝物である6-ヒドロキシダイゼインをエクオールにまで変換することが明らかとなった。
    以上の結果から、エクオールはA.equolifaciensの働きにより、ダイゼインからだけでなくグリシテインからも生成する可能性が考えられた。



[第8回 国際大豆シンポジウム概要]
 本シンポジウムは、世界中の大豆関連の研究者・技術者が集まる重要な場となっており、日本で開催されるのは今回が初めてです。今回のメインテーマは、「健康増進、慢性疾患予防および治療における大豆の役割」であり、大豆を日常の食生活に取り入れている日本での研究成果は、大きな注目を集めると考えられます。
 ・シンポジウム英語名:8th International Symposium on the Role of Soyin Health Promotion and Chronic Disease Prevention and Treatment
 ・開催期間:11月9日(日)~12日(水)
 ・会場:ヒルトン東京 4F 菊の間


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鉛筆の芯が超伝導
「黒鉛超伝導体」40年来の難問解決

鉛筆の芯が超伝導になる


<概要>
 東北大学 大学院理学研究科の佐藤 宇史 助教と同大学 原子分子材料科学高等研究機構の高橋 隆 教授らの研究グループは、40年来未解決であった「黒鉛超伝導体」のメカニズムを解明することに成功しました。
 本研究成果は、平成20年11月9日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Physics(ネイチャーフィジックス)」のオンライン速報版で公開されます。

<背景>
 鉛筆の芯に使われている黒鉛(グラファイト)は、炭素原子が蜂の巣状のネットワークを形成した層状の結晶構造(図1(a))を持っており、鉛筆でなめらかに字が書けるのは、このグラファイト層の間がすべりやすく、はがれやすいためです。黒鉛自体は電気をわずかに流す半金属として知られていますが、グラファイト層の間にカリウム(K)原子を入れると、低温で電気抵抗がゼロとなる超伝導を示すことが40年前に発見されました。私たちの身の回りどこにでもある黒鉛が超伝導になるということで大きな注目を集め、その超伝導メカニズムを解明して、さらに高い超伝導温度を達成しようという研究が世界中で精力的に行われました。とりわけ、日米仏の研究者の間では相反する超伝導モデルが提案され、激しい議論が展開されましたが、そのメカニズムは依然不明のままでした。ところが2005年に、これまで絶対温度で高々2K程度であった超伝導転移温度(Tc)が、牛乳や骨に含まれているカルシウム(Ca)をグラファイト層間に入れると、一気に11.5Kまで急上昇することが報告されました(図1(b))。この発見により、「黒鉛超伝導体では高いTcは実現できない」というそれまでの常識が覆され、現在、基礎科学の立場からも、今後より高いTcを持つ物質を開発する産業応用の立場からも、この黒鉛超伝導体の超伝導メカニズムの解明が急がれています。

<研究の内容>
 本研究グループは今回、光電子分光(図2)と呼ばれる実験手法を用いて、カルシウムを入れた黒鉛超伝導体(C6Ca)中の超伝導電子の観測を試みました。光電子分光とは、物質に紫外線を照射して、外部光電効果注1)により物質外に放出される電子のエネルギーを精密に測定することで、物質内にある電子の状態を観測できる実験法です。本研究グループは、世界最高のエネルギー分解能を持つ装置を用いて、黒鉛超伝導体の超伝導電子の直接観測に今回初めて成功しました。その結果、超伝導を担う電子は、グラファイト単独層に存在するパイ電子( 電子)注2)やシグマ電子( 電子)注3)ではなく、グラファイト層が重なり合うことで層の間に新たに形成される「層間電子状態」に存在する電子であることが明らかになりました(図1(c))。また、層間に挿入されたカルシウム原子は、この層間電子状態に電子を与えると同時に、層間電子が超伝導になることを助ける働きもしていることも判明しました。この層間電子は、30年以上も前に日本の研究者により予言されながら実験的に観測できず、長い間その存在と超伝導への関与について謎のままであったものです。今回の成果は、この層間電子の存在を確認すると同時に、その超伝導への寄与を明らかにしたもので、黒鉛超伝導の長年の難問を解決したものと言えます。

<今後の展望>
 今回の研究結果に基づいて、カルシウムなどの挿入原子と炭素原子がどのように協力して高いTcを実現しているのかの研究が急速に進むものと期待されます。その結果、カルシウム以外の原子や分子を入れたり、グラファイトの炭素を他の元素で置換したりすることで、さらに高いTcを持つ超伝導体が見いだされることが期待されます。また、今回の成果をもたらした光電子分光装置の高分解能化をさらに進めることで、超伝導を引き起こしている層間電子の性質がより明らかになり、高温超伝導体などの黒鉛以外の層状超伝導体の超伝導機構の解明と、そのTc上昇に貢献するものと期待されます。

 本成果は、文部科学省・日本学術振興会科学研究費およびJST 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の「物質現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」研究領域(研究総括:田中 通義 東北大学 名誉教授)の研究課題「バルク敏感スピン分解超高分解能光電子分光装置の開発」(研究代表者:高橋 隆)によって得られました。

 
<用語解説>
注1)外部光電効果
 物質に紫外線やX線を入射すると電子が物質の表面から放出される現象です。物質外に放出された電子は光電子とも呼ばれます。この現象は、1905年に、アインシュタインの光量子仮説によって理論的に説明されました。アインシュタインは、この業績でノーベル賞を受賞しています。

注2)パイ電子(電子)
 グラファイト単独層の電子状態を構成している2種類の電子状態の1つ(もう1つはシグマ電子)で、グラファイト層平面に対して垂直に伸びた電子分布を持っています(図1(c)参照)。半金属であるグラファイトの電気伝導は、このパイ電子によって担われます。

注3)シグマ電子( 電子)
 グラファイト層内の炭素と炭素の結合方向に伸びた電子分布を持ちます(図1(c)参照)。
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日本人の遺伝子の特徴をさぐった
1人あたり約14万個所のDNA塩基多型を用いて日本人の集団構造を解明
- 病気と遺伝子の関連を調べるケース・コントロール解析のよりよい研究デザインが可能に -

◇ポイント◇ 
●7,000人以上の日本人の常染色体上のDNA塩基多型情報を解析
●ほとんどの日本人は、本土クラスター、琉球クラスターの2つに大別
●本土でも遺伝的な地域差があることが判明


 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、1人あたり約14万個所のDNA塩基多型の解析により、日本人の集団構造を大きく2つのクラスター(集団)にわけることができることを明らかにしました。これは、理研ゲノム医科学研究センター(中村祐輔センター長)統計解析・技術開発グループの鎌谷直之グループディレクター、加畑(山口)由美研究員らによる研究成果です。
 私たちそれぞれが持っている遺伝子と個人の病気のかかりやすさ、薬の副作用の有無などの関係を調べる場合、病気や薬の副作用を持つ集団(患者集団:ケース)と持たない集団(対照集団:コントロール)について、遺伝子上のSNP(1塩基多型)(※1)を測定し、その頻度を比較する手法が一般的に行われています。この手法はケース・コントロール解析と呼ばれ、この解析からわかるSNPの頻度情報は、個人に合った投薬や治療を行う、オーダーメイド医療を目指した研究の基盤情報として非常に有用です。しかし、対象にした集団に分集団構造があり、ケースとコントロールのサンプルの仕方に偏りがある場合、偽陽性の結果を検出する率が上昇してしまいます。今後のゲノムワイドなケース・コントロール解析のよりよいデザインのためにも、ゲノム全体を網羅するSNPを用いて、日本人の集団構造を調べることが大変重要です。
 研究グループは、日本人7,001人と中国人45人のサンプルについて、1人あたり約14万個所のSNPの遺伝子型データを用いた主成分分析(※2)を行いました。その結果、日本人の大部分が本土クラスターと琉球クラスターに大別できることを明らかにしました。さらに、本土の中でも遺伝的な地域差があることが明確となりました。
 今回明らかにした、日本人の集団構造に関する知識により、ゲノムワイドなケース・コントロール解析の研究デザインの向上が期待されます。また、今後さらに多くのアジアの近隣諸国の人のSNPと共に解析することによって、集団間の違い、民族の歴史、人の移動の程度を含めた詳細な集団構造の理解などが可能になると期待できます。
 本研究は、文部科学省「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト(オーダーメイド医療実現化プロジェクト)」の一環として行われたもので、研究成果は、米国の科学雑誌『The American Journal of Human Genetics』(10月号)に掲載されるに先立ち、オンライン版(9月25日付け:日本時間9月26日)に掲載されます。


1.背景

 病気のかかりやすさ、薬の副作用の有無などと遺伝子の関係を調べる場合、病気や薬の副作用を持つ集団(患者集団:ケース)と持たない集団(対照集団:コントロール)について、ゲノム上のDNA塩基多型のタイプを測定し、その頻度を比較する手法「ケース・コントロール解析」が一般的に行われています。このケース・コントロール解析で用いる1塩基多型(SNP)の頻度情報は、病気や副作用と遺伝子の関係を解明し、個人に適合した投薬や治療を行うオーダーメイド医療を目指した研究の基盤情報として非常に有用です。
 理研ゲノム医科学研究センターは、ゲノム全体を網羅するSNP解析の手法を確立し、これまでに、心筋梗塞、関節リウマチ、変形性関節症、糖尿病性腎症などをはじめとする数多くの疾患に関連する遺伝子を特定してきました。また近年、欧米の研究機関においても、同様の解析による疾患関連遺伝子研究が急速に進んできています。一方、SNPの頻度は人種、国、地域によって異なっており、民族の歴史の影響を受けています。このような状況を踏まえ、日本人の病気や薬の副作用に関連する遺伝子の探索をさらに深めていく上で、日本人の集団の遺伝的多様性と集団構造の理解の必要性が高まっています。
 現在のケース・コントロール解析は、解析対象の集団の中では、疾患に関係のないゲノム領域のSNPの頻度は個人の疾患の有無と関係がない、という仮定を立てています。そのため、もし対象の集団に、さらに細分化した分集団構造があって、ケースとコントロールのサンプルの取り方に偏りがある場合(図1)、あるいは、コントロール集団に比べてケース集団の方がより近縁である場合は、疾患に関係のないゲノム領域でも、SNPの頻度に統計的な有意差が出やすくなり、偽陽性の結果を得る率が上昇します。
 これまで理研ゲノム医科学研究センターは、日本人の集団を対象として、多くの疾患関連遺伝子を特定してきました。しかし、今後のさらなる研究を進める場合、より多数のサンプルを用いて解析を行うと、検出力が上がる反面、集団の構造化による偽陽性の結果を得る率が上がってしまうことが懸念されます。
 日本人の遺伝的多様性と起源についての研究は、これまでミトコンドリアDNA(※3)やY染色体(※4)のDNA塩基多型を用いた研究が主流でした。それらの先行研究では、興味深いことに、日本人集団の「二重構造」説(※5)を支持するものや、ミトコンドリアDNAのハプロタイプ(※6)の多様性を示すものがあります。そのため、今後のゲノムワイドなケース・コントロール解析が、偽陽性の結果を得ることがないようにするためにも、ゲノム全体を網羅するSNPを用いて、日本人の集団構造を調べることが必要です。


2.研究手法と成果

 今回の研究では、国際ハップマッププロジェクト(※6)の4つの集団(西・北欧系ユタ州住民60人、ナイジェリアのヨルバ族60人、東京在住の日本人45人、北京在住の中国人漢民族45人の合計210人)のSNPのデータに加えて、バイオバンクジャパン(※7)の日本人7,003人の、常染色体(※8)上にある1人あたり140,387個所のSNPを解析に用いました。この日本人7,003人は、心筋梗塞、糖尿病、関節リウマチなど35種類の疾患のいずれかの患者であり(バイオバンクジャパンでは47種類の対象疾患があります)、病院の所在地により、7つの地域(北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、九州、沖縄)にグループ分けされています。
 研究チームは、これらの人々からの常染色体上のSNPの遺伝子型データを用いて、主成分分析を基礎にした解析手法により、個人間の遺伝子型の相関を基に個人間の近縁関係を解析しました(図2)。まず、欧米人、アフリカ人を含んだ解析により、日本人7,003人のほぼ全員が東アジア人のグループに属することを確かめました。次に、この内の7,001人を中国人45人のサンプルと共に解析した結果、7,001人は本土クラスターと琉球クラスターの2つの主なクラスターに大別されることがわかりました(図3)。つまり、前者には本土の6つの地域で採血された大部分の人が含まれ、後者には沖縄で採血された人の大部分が含まれていました。本土クラスターと琉球クラスターの遺伝的分化の程度は非常に小さく、そのためSNPの頻度の違いは大部分についてはわずかでしたが、約14万個所という数多くのSNPを用いたために、2つのクラスターを観察できたと考えられます。さらに、本土の中でも遺伝的な地域差があることが明確にわかりました(図4)。今回の結果は、従来から提唱されている日本人集団の「ニ重構造」説と矛盾しないものです。
 本土クラスターと琉球クラスターの違いが、どのSNPでもっとも顕著であるかを調べたところ、6番染色体のHLA領域(※9)に見つかりました。また、アミノ酸を変化させるSNPの頻度の違いを比較したところ、髪の毛の太さと関連のあるEDAR遺伝子(※10)のSNP、耳垢のタイプと関連のあるABCC11遺伝子(※11)のSNPの頻度がもっとも大きい違いを示しました。
 さらに研究グループは、日本人の集団構造が疾患関連遺伝子探索のケース・コントロール解析にどの程度影響するかを調べるために、2つのクラスターや地域を分集団として、個人をランダムにサンプル抽出し、シミュレーションを行いました。その一つとして、本土クラスターのケース集団(200人)とコントロール集団(200人)を基に、ケース集団における琉球クラスターからの人の割合を増やしていき、ゲノム全体のSNPの遺伝子型頻度の違いの統計量がどのように増大するかを調べました。その結果、ケース集団における琉球クラスターからの人の割合が23%になると、偽陽性の結果を得る率の増大が無視できなくなることを明らかにしました。この結果は、ケース・コントロール解析では、患者の住む地域や遺伝的背景を考慮した解析デザインが必要であることを示しています。


3.今後の期待

 日本人における遺伝的な集団構造と地域差が、ゲノム全体を網羅するSNPで解明されたことにより、次のような発展が期待されます。まず、今回明らかになった日本人の集団構造についての知識は、今後のゲノムワイドなケース・コントロール解析の研究デザインの向上に生かすことができます。今後の解析では、検出力を上げるために、より多数のサンプル数で解析すると予想でき、今回の研究の知見を生かせば、ケース集団とコントロール集団のバランスがとれるように前もって調整することで、偽陽性をなるべく抑える研究デザインが可能になります。また、進行中あるいは検証中の研究であっても、今回の研究で示した通り、サンプルの抽出の偏りが及ぼす偽陽性への影響の程度を考慮することによって、構造化による偽陽性の問題を解決することが可能になります。さらに、本土と琉球の2つのクラスターの間で頻度の違いが大きいSNPがあることを示しているため、どのSNPやどのゲノム領域で偽陽性が起こりやすいか、ということについても役立つ情報を提供します。このように、集団構造の理解や、分集団間の違いを理解することからケース・コントロール解析の精度が上がるため、疾患関連遺伝子同定の精度の向上が期待され、より確かなオーダーメイド医療の実現化につながると考えられます。
 また、日本人の集団構造が、今後、アジアの近隣諸国の人のデータと共に解析されることによって、集団間の違い、民族の歴史、人の移動の程度を含めた詳細な集団構造の理解が進むことになります。近縁な集団間における遺伝的な関係や違いの程度を理解することで、SNPと疾患の関係を解明する研究が、アジアの近隣諸国でも加速していくと注目されます。
 今回の研究により、アミノ酸を変化させているSNPの中で、本土クラスターと琉球クラスター間のもっとも大きな違いが、髪の毛の太さや耳垢のタイプのような、表現型の違いにかかわるものであったことは、非常に興味深い結果です。今後、近縁な分集団の間で頻度の違いの大きなSNPを調べることによって、人類の歴史において過去に働いた自然選択が、表現型に違いを生じるようなSNPの頻度の変化に影響を与えてきた例をさらに探し出すことができる可能性があると期待できます。


<補足説明>
※1 SNP(スニップと発音されることが多い)
 DNAの1塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism)で、過去に起きたDNAの点突然変異による。ヒト集団では染色体をランダムに2本選んで比較すると、1,200~1,500塩基に1つの割合で、SNPがあると推定されている。ヒトゲノム上では、約12,000,000のSNPが報告されている。

※2 主成分分析
 複数の変数間の共分散(相関)を少数の合成変数で説明する手法。共分散行列の固有値問題の解として得ることができる。この研究では、各個体点を座標のばらつきがなるべく大きくなるように直交軸を取り直して眺めている。

※3 ミトコンドリアDNA 
 細胞内小器官のミトコンドリアが独自に持っている環状のDNA。過去に細胞内で共生したほかの細胞が由来である、と考えられている。ミトコンドリアDNAは、受精卵の細胞質により母から子に伝えられる。DNA複製のエラー修復機構を欠き、分子進化速度が核のDNAよりも速い。ヒトのミトコンドリアDNA は約16,600塩基対と短いが、塩基多型の割合が核のDNAよりも高い。ヒトの遺伝的多様性と移動の歴史を推測する研究によく使われている。

※4 Y染色体 
 性染色体の1つで、ヒトではY染色体があると男性になる。通常の男性の性染色体の核型はX染色体とY染色体が1本ずつで、Y染色体は父親から息子に遺伝する。ヒトの遺伝的多様性と移動の歴史を推測する研究によく使われている。

※5 日本人集団の「二重構造」説 
 埴原和郎(はにはらかずろう)氏の「二重構造モデル」。日本人の祖先集団は、縄文人、そして北東アジアから渡来した弥生人に由来しており、この2集団は日本列島内で徐々に混血したが、アイヌ人と南西諸島の人においては、北東アジアからの渡来人の影響は少なかった、とする説。

※6 国際ハップマッププロジェクト/ハプロタイプ 
 ハップマップとは、ハプロタイプ地図を略したもの。ハプロタイプは1本のゲノム(染色体)上のDNA塩基多型の組み合わせである。このプロジェクトは、疾患関連遺伝子同定のためのゲノムワイドなケース・コントロール解析を加速させることを第一の目的に発足した。日本人、中国人、ヨーロッパ系アメリカ人、アフリカ人からの4集団270人について、ゲノム全体を網羅するSNPの遺伝子型が決定され、データベースで公開されている。

※7 バイオバンクジャパン 
 文部科学省「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト(オーダーメイド医療実現化プロジェクト)」の基盤となるDNAサンプルおよび血清サンプルを収集し臨床情報とともに保管している世界でも有数の資源バンクの名称。バイオバンクへ約30万人のDNAおよび血清試料を集め、それらを利用してSNPと病気との関係、薬剤の効果などの関係を明らかにする研究を行っている。心筋梗塞、糖尿病、関節リウマチなど47種類の対象疾患がある。情報は個人情報管理に配慮し幾重にも厳重に管理されており、東京大学医科学研究所内に設置されている。

※8 常染色体 
 ヒトでは1~22番染色体のこと。細胞内の染色体の全セットのうち、性染色体(X染色体とY染色体)を除いたもの。
 
※9 HLA(human leukocyte antigen)領域 
 ヒトの6番染色体短腕(6p21)上に存在し、その領域にある多重遺伝子族(遺伝子重複によって生じた遺伝子の中で相同性が高いもの)は、自己と非自己の認識、免疫応答の誘導に関与する白血球抗原をコードしている。MHC(major histocompatibility complex;主要組織適合性複合体)領域とも呼ばれる。

※10 EDAR遺伝子(ectodysplasin A receptor)
 シグナル伝達に関与する遺伝子の1種で、2番染色体上に存在する。370番目のアミノ酸変異(アラニンまたはバリン)の頻度は、東アジア人と他の人種で大きく異なっており、髪の毛の太さに関与することがわかっている。東アジア人は他の人種と比べて髪の毛が太く、アラニン型の頻度が高い。

※11 ABCC11遺伝子(ATP-binding cassette, subfamily C, member 11)
 ATP結合機能を持ち、輸送にかかわるタンパク質のファミリーをコードする多重遺伝子族のメンバーの1つで、16番染色体上に存在する。薬剤排出の機能を持つ。180番目のアミノ酸変異(グリシンまたはアルギニン)は、耳垢の乾型、湿型を決めることがわかっている。そのSNPの頻度は東アジアと他の地域で大きく異なっており、東アジア人では乾型のアルギニンのタイプの頻度が高い。

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神経の情報伝達の仕組みの新知見
神経伝達物質の放出を制御する新分子を発見
― 神経伝達物質放出とメラニン色素輸送に共通の分子機構が関与! ―

【 本研究成果のポイント 】
 ・ヤリイカ巨大軸索を用いて神経伝達物質を制御するラブ27の機能を解明
 ・ラブ27はシナプス小胞を細胞膜まで輸送する過程を制御
 ・神経伝達物質の放出とメラニン色素輸送に共通の分子メカニズムを発見


 私達の脳は一千億を超える神経細胞により成り立っており、シナプス(*1)と呼ばれる連絡場所を介して巨大なネットワークを形成しています。神経細胞間の情報交換は、シナプス小胞と呼ばれる袋に貯蔵された神経伝達物質が一つの細胞から放出され、別の細胞に受け渡されることにより行われています。一度使用されたシナプス小胞はリサイクル(再回収)され、神経伝達物質を再充填された後、細胞膜まで輸送されます。つまり、情報交換を継続的に行うためには、シナプス小胞のリサイクリングは重要なプロセスと考えられます。しかし、シナプス小胞からの神経伝達物質の放出機構に比べ、リサイクルされたシナプス小胞が細胞膜までどのような機構で輸送されるかは、これまでほとんど解明されていませんでした。

 今回、私達はヤリイカの巨大軸索(*2)を用いて、このリサイクルされた小胞が細胞膜に輸送される過程に、低分子量Gタンパク質ラブ27(Rab27)(*3)が関与することを突き止めました。すなわち、ラブ27はシナプス小胞上に存在しており、その機能を特異的に阻害すると、シナプス小胞が細胞膜から離れた部分に蓄積することを明らかにしました。

 今回同定されたラブ27は、ヤリイカをはじめとする無脊椎動物から高等哺乳動物まで進化的に保存されており、ヒトの神経細胞でも同様な機能を持つものと考えられます。ヒトにおいては二種類のラブ27(AとB)が存在し、ラブ27Aを欠損すると毛髪や肌の白色化を特徴とするGriscelli(グリセリ)症候群(*4)が発症します。私達はラブ27Aがメラノサイトにおいてメラニン色素を細胞膜まで輸送することを以前突き止めており(*5)、今回の成果により神経伝達物質の放出とメラニン色素輸送に共通の分子機構が存在することが初めて明らかになりました。

 本研究は、東北大学大学院生命科学研究科の福田光則教授のグループとニューヨーク大学のRodolfo R. Llinas教授のグループの共同研究により行われたものです。

 本研究成果は、2008年9月29日(米国東部時間)の週に米国の科学雑誌『米国科学アカデミー紀要』のオンライン版に掲載されます。


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ガラクタはガラクタでなかった
『ガラクタ』RNAの遺伝子活性化における新しい役割 


1.タイトル:「ガラクタ」RNAの遺伝子活性化における新しい役割


2.発表概要:
 ゲノム情報の「暗黒物質(ダークマター)」といわれる非翻訳型RNA(ノンコーディングRNA)の出現とともに、段階的にクロマチン構造が緩み、遺伝子の発現が活性化される機構が、国立大学法人東京大学(小宮山宏総長)と独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)の共同研究により、世界で初めて明らかにされた。


3.発表内容:
◇発見の背景
 ヒトゲノム解析結果から、下等な生物と比較して、ヒトの遺伝子数がそれほど多くないことが示された。これは、生物の複雑化や多様化において、遺伝子数の増大よりも、遺伝子発現制御の複雑化が重要であることを示している。また、昨今の網羅的な遺伝子発現の解析から、タンパク質をコードしていない転写物(非翻訳型RNAまたはノンコーディングRNA)が、予想以上に多く存在することが示された。非翻訳型RNAは、当初何をしているか不明であったため「ガラクタ」のような存在ではないかと考えられていた。しかし、最近になって、発生・分化に応じて転写制御を受けるほか、遺伝子発現の抑制などの機能が示されつつあり、さまざまな遺伝子制御過程に重要な役割を持つと考えられるようになった。このような無数の非翻訳型RNAの発見は、生命科学に大きな転換点をもたらしつつあり、「RNA新大陸発見」と称されるに至っている。しかしながら、非翻訳型RNAの遺伝子発現制御における役割は不明な点が多く、特にmRNA型の非翻訳型RNAの機能については、ほとんど明らかになっていない。
 太田邦史(東京大学大学院総合文化研究科教授/理化学研究所客員主幹研究員)の研究室では、酵母を用いてDNA組換えとクロマチン構造(※1)の関係を調べてきた。その過程で、DNA組換えが頻発する場所で、減数分裂時にクロマチン再編成が起こることを示した。また、このクロマチン再編成には、ある種の配列特異的DNA結合タンパク質(CREB/ATF型転写因子(※2))が関わることを見出した。さらに、太田邦史教授と廣田耕志氏(元 理化学研究所 基礎科学特別研究員)は、同様なクロマチン再編成の仕組みが、グルコースが枯渇した環境下(グルコース飢餓)にある分裂酵母のfbp1遺伝子(フルクトース-1,6-ビス脱リン酸酵素(※3))の転写プロモーター領域にも認められ、fbp1遺伝子の活性化に関わることを明らかにしていた。

◇発見の詳細
 fbp1遺伝子は、グルコースが培地に存在する間はほとんど転写されない。ところが、グルコースが培地から失われると(グルコース飢餓)、1時間ほどで顕著に活性化される。今回廣田耕志氏と太田邦史教授らは、グルコース飢餓状態に移行する際、微量の非翻訳型RNAがあらかじめ転写されていることを発見した(図1)。この非翻訳型RNAは、正規のfbp1遺伝子プロモーターのさらに上流域から転写される長鎖のmRNA型非翻訳型RNAであり、タンパク質には全く翻訳されない。興味深いことに、グルコース飢餓に対応してfbp1遺伝子の活性化がはじまると、転写開始部位がfbp1コード領域に近接したいくつかの転写開始点に順次移行し、RNA量の増大に相反して、長さがだんだんと短くなっていった。これに呼応するように、fbp1プロモーター領域のクロマチン構造が徐々に開いた状態に移行していくことも示された(図2)。グルコース飢餓から1時間ほどすると、正規のfbp1転写開始点から大量のmRNAが合成され、タンパク質への翻訳が始まった。この時期におけるfbp1領域のクロマチン構造は、広い範囲でヌクレアーゼの消化を受けやすい開いた状態をとっていた。
 上記の結果は、長鎖非翻訳型RNAがRNAポリメラーゼII(※4)によって合成される過程で、順次fbp1プロモーター領域のクロマチン構造が弛緩していき、これがカスケード的に生じることで、転写が段階的に活性化される可能性を示唆している。そこで、この考えを検証するため、fbp1プロモーター領域の複数の箇所に転写終結配列(※5)を挿入した酵母株を作製し、fbp1の発現やクロマチン構造を解析した。その結果、長鎖非翻訳型RNAの合成を途中で終結させると、大規模なfbp1の転写活性化が起こらなくなること、また長鎖非翻訳型RNAの終結点以降でのクロマチン再編成が起こらなくなることを確認した(図3)。分子レベルの解析で、長鎖非翻訳型RNAの転写には、RNAポリメラーゼII、fbp1プロモーター領域に結合するCREB/ATF型転写因子、C2H2Znフィンガータンパク質(※6)、Groucho型の転写共抑制因子(※7)が協調的に関わることが示された(図4)。さらに、分裂酵母の全ゲノムをカバーするゲノムタイリングDNAチップ(※8)を用いて、グルコース飢餓で転写が誘導されるほかのいくつかの遺伝子でも、同様な長鎖非翻訳型RNAが誘導初期に転写されることを明らかにした。
 以上の結果から、非翻訳型RNAの転写を伴う段階的なクロマチン再編成が、遺伝子の活性化にも重要な役割を果たすことが示された。

◇意義と波及効果
 CREB/ATF型の転写因子や、Groucho型転写共抑制因子は、糖代謝のほか、高等真核生物では発生や分化にも関わることが知られている。また、記憶に必要な神経細胞の長期増強の際にも、CREB/ATF型の転写因子が関わるクロマチン再編成が起こることが報告されている。これらのことから、今回発見したタイプの非翻訳型RNAは、おそらく発生や分化、長期記憶などの過程に関わる遺伝子群においても活躍しているものと考えられる。近年のクロマチンをベースにした研究で、真核生物の転写制御機構の概念は、大腸菌をモデルとしたジャコブとモノーのオペロン説(※9)から大きな発展を見せつつある。今回発見された機構も、真核生物の遺伝子制御に関する研究に、新しい展開をもたらすものと期待される。また、ヒトなどで同様な機構を調べることで、糖尿病などの代謝異常疾患や、人間の記憶の仕組みが解き明かされる可能性がある。


4.発表雑誌:
 9月28日付けのNature誌オンライン版で発表。
 Hirota K., Miyoshi T., Kugou K., Hoffman C.S., Shibata T., and Ohta K.
 Stepwise chromatin remodeling by a cascade of transcription initiation of non-coding RNAs Nature, in press (2008)


5.注意事項:
 報道の解禁 日本時間9月29日 午前2時(新聞は9月29日朝刊)


6.問い合わせ先:
 東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻
  教授 太田邦史
   URL: http://bio.c.u-tokyo.ac.jp/labs/ohta/


7.用語解説:
※1クロマチン構造:真核生物のゲノムDNAは、ヒストンやそれ以外のタンパク質と結合し、高度に凝縮した状態で存在する。このような構造をクロマチン構造と呼ぶ。局所的なクロマチン構造の変化を介して、転写因子などのタンパク質の染色体DNAへの接近のしやすさが制御される。クロマチン構造は、転写や組換え・複製などの遺伝情報制御において、中心的役割を果たすことが示されつつある。

※2CREB/ATF型転写因子(CREB: CRE-binding protein、ATF:activating transcription factor):cAMP 応答配列(CRE: cAMP responsive element)に結合する、塩基性ロイシンジッパーを持った配列特異的DNA結合タンパク質である。同類の転写因子が酵母からヒトまで広く存在しており、糖代謝調節、ストレス応答や発生、神経の長期増強などに重要な役割を果たす。

※3フルクトース-1,6-ビス脱リン酸酵素:酵母をはじめ、多くの真核生物では、エネルギー源としてのグルコース(ブドウ糖)が枯渇すると、ほかの栄養素から糖新生というはたらきによってグルコースの供給を維持する。この際、グルコースを代謝する解糖系の逆反応を用い、その逆反応の1つに不可欠な酵素の1つが、フルクトース-1,6-ビス脱リン酸化酵素である。この酵素は、生育環境にグルコースが存在すると転写が低く抑えられ,ほとんど細胞内に存在しないが、グルコース飢餓に際して大量に合成されるようになっている。したがって、この過程には、厳密な遺伝子活性の制御が必要であり、遺伝子発現研究のための良いモデル系を提供する。

※4RNAポリメラーゼII(RNA Pol II):真核生物のRNA合成を担当する酵素は3種類ある。そのうちの1つがRNA Pol IIであり、基本的にはタンパク質をコードする遺伝子領域(クラスII遺伝子)の転写を行う。それ自身では、転写開始点に特異的に結合できず、転写活性化因子を介して転写開始点のクロマチンに結合する。

※5転写終結配列:遺伝子の3´側に配置する配列で、転写されたRNAでは末端部分に位置し、RNAポリメラーゼの反応を終結させる機能がある。

※6C2H2Znフィンガータンパク質:亜鉛を配位することでDNA結合活性を示すドメインを持つタンパク質のうち、亜鉛の配位が2つのシステインと2つのヒスチジンによるもの。遺伝子発現に重要な役割を果たす。
※7Groucho型の転写共抑制因子:Groucho(グルーチョ)という転写共抑制因子は、高等真核生物のWntシグナルの下流に位置する転写制御因子である。高等生物の体軸・体節形成に関与する。当初、ショウジョウバエの体節剛毛が太くなる変異の原因遺伝子(名は眉毛の濃い喜劇俳優から取られた)として同定された。酵母などでは、Tupといわれる転写共抑制因子が同類であり、ストレス応答遺伝子などの転写制御に関わる。

※8ゲノムタイリングDNAチップ:染色体の配列を、端から端までもれなく網羅して、20塩基対や100塩基対単位に区切り、その区画に対して25塩基程度のオリゴDNAを設計し、個々にチップ上に合成したもの。染色体のどの部分が転写されているかが、高解像度で網羅的に把握できる。

※9オペロン説:オペロン説は、大腸菌のラクトース・オペロンの研究から、ジャコブとモノーによって1961年に提唱された遺伝子制御理論。遺伝子の発現は、構造遺伝子の上流に位置する調節領域に転写調節タンパク質が結合・脱離することにより、転写レベルで制御される、という概念。

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記憶のしくみと加齢によるその変化
記憶の再固定化のプロセスが加齢に伴う記憶障害に関与
- 記憶の再固定でタウタンパク質リン酸化酵素「GSK-3β」を活性化 -



◇ポイント◇
 ・タウタンパク質リン酸化酵素「GSK-3β」の正常脳での機能を確定
 ・GSK-3βは、再起した記憶の保持に必要
 ・アルツハイマー病発症が、脳の記憶形成維持プロセスに大きく依存

 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、脳の記憶プロセスに関係するタウタンパク質をリン酸化する酵素の1つ「GSK-3β(※1)」の活性化が、記憶を呼び出し、それを再び固定化するプロセス(記憶の再固定化)に必須であることを発見しました。理研脳科学総合研究センター(田中啓治センター長代行)アルツハイマー病研究チームの高島明彦チームリーダー、木村哲也専門職研究員らの成果です。
 アルツハイマー病は、アミロイドベータタンパク質の蓄積とともに、タウタンパク質が嗅内野、海馬、扁桃体、前頭前野など記憶プロセスに重要な記憶ネットワークに蓄積することで、認知障害を引き起こします。一方、脳の老化は、認知症を引き起こす前にタウタンパク質が嗅内野に蓄積することで、軽い記憶障害に至るとされています。研究チームは、このタウタンパク質が蓄積する仕組みを明らかにする目的で、タウタンパク質の蓄積に関与するタウタンパク質リン酸化酵素GSK-3βの正常脳での役割を調べました。その結果、GSK-3βは、再起した記憶の再固定化に必要なことがわかりました。加齢と共に知識が増えることで記憶の再固定化のプロセスが頻繁に活性化されますが、このことがGSK-3βをさらに活性化してタウタンパク質の蓄積を引き起こし、老化による記憶障害を引き起こすと考えられます。
 脳老化は、アルツハイマー病を引き起こす前提条件です。本研究と、研究チームの最近の成果から、アルツハイマー病は単純なタンパク質の変成疾患ではなく、脳の記憶形成維持プロセスに大きく依存した疾患であることが明らかになってきました。そして、脳科学が加齢した脳(加齢脳)の記憶プロセスに対応したライフスタイルや生活環境を提案することで、脳の老化を遅延しアルツハイマー病の発症を制御できるようになると考えられます。
 本研究成果は、文部科学省特定領域研究「統合脳」の助成金を得て実施され、米国のオンライン科学雑誌『PLoS ONE』(10月28日号)に掲載されます。


1.背景
 アルツハイマー病は、ベータアミロイドの蓄積とともに、タウタンパク質が海馬、扁桃体、前頭前野など記憶プロセスに重要な記憶ネットワークに蓄積することで認知障害を引き起こすと考えられています。また、正常老化においても、嗅内野と呼ばれる脳部位でタウタンパク質の蓄積が観察されています。研究チームは、これまでに、ヒトタウタンパク質を過剰発現させたモデルマウスを用いて、加齢依存的に起こる嗅内野におけるタウタンパク質の蓄積は、加齢性の記憶障害を引き起こす大きな要因であることを報告しています(2007年11月16日記者発表 http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2007/071116/index.html)。今回、研究チームは、このタウタンパク質が蓄積する仕組みを明らかにする目的で、この蓄積に関与するタウタンパク質リン酸化酵素「GSK-3β」の正常脳における役割を調べました。



2.研究成果

(1)GSK-3βノックアウトマウスの作成
 正常脳におけるGSK-3βの機能を明らかにするために、GSK-3βの遺伝子を半分に減らしたノックアウトマウスを作製しました。作製したノックアウトマウスのGSK-3βの総量は、正常なマウスのほぼ半分となっており、これによって何らかの機能障害が起こることが予想されました。しかし、実際に作成したノックアウトマウスの成体の行動学的特徴を調べたところ、普段の運動(歩行や遊泳)や活動(概日周期に伴った動物の活動変化など)には大きな変化がなく、正常なネズミと区別できないことがわかりました。

(2)GSK-3βノックアウトマウスは記憶喪失を起こす
 ノックアウトマウスに水迷路を用いた場所学習課題(※2)を行わせたところ、非常に興味深い記憶障害を示しました。このノックアウトマウスを3日間(1日3試行)だけ水迷路トレーニングした場合、このマウスは正常なマウスと同様な学習傾向と空間記憶を示しましたが(図1中段グラフ)、9日間という長期にわたるトレーニングでは空間記憶痕跡が消失してしまいました(図1下段グラフ)。ノックアウトマウスは基本的な空間認識能力を持ち、空間学習が可能である一方、繰り返しトレーニング(学習操作)を受け、繰り返し記憶を呼び出すことになると、記憶喪失を起こすことがわかりました。

(3)GSK-3βノックアウトマウスは再起した記憶が喪失する
 ノックアウトマウスにコンテキスト恐怖条件付け(※3)を行って、記憶喪失を詳しく調べたところ、1回の学習操作で形成された記憶は1週間後も保持され、フリージング反応(※4)を誘導することがわかりました(図2上グラフ)。これは、ノックアウトマウスが場所の記憶を形成し、保持できることを示しています。一方で、1週間の記憶保持期間に1度だけ同じ場所に放置し記憶を呼び出した場合、1週間後のテストでは記憶喪失を起こしていました(図2下グラフ)。このことから、ノックアウトマウスの記憶喪失は、覚えた記憶を再起することで誘導されていることがわかりました。すなわち、GSK-3βは、再起した記憶の保持に重要な役割を持つタンパク質である可能性が示されました。

(4)GSK-3βは記憶の再起後数時間にわたって活性化する
 野性型マウスで、記憶の再起にともなってGSK-3βの活性変化が起こるか否かを生化学的に調べました。その結果、記憶再起後、少なくとも数時間以内は、脳内GSK-3βが高い活性を持つことが見いだされました(図3再起後)。このような高いGSK-3β活性は新規の記憶形成直後では見いだされず(図3学習後)、GSK-3βの活性化は記憶再起後に特徴的な反応といえます。さらに、GSK-3βの阻害剤を用いて、野生型マウスで記憶の再起時にGSK-3β活性を抑制したところ、ノックアウトマウスが示したのと同様に、再起記憶の喪失を起こすことを確認できました。
 これらのことから、確かにGSK-3βは、再起記憶の保持の過程(再起後、数時間を要するとされます)で活性化され、これによって保持の過程が円滑に進行していることがわかりました。



3.今後の期待
 本研究によって、GSK-3βの活性化が再起した記憶の保持過程(記憶の再固定化;図4)に必須の役割を果たしていることがわかりました。また、最近になって、GSK-3βの活性が、新規記憶の保持過程(記憶の固定化)に対して抑制的に作用するという結果が報告されました。これらの結果から、GSK-3βの活性状態が、脳の記憶の動向に大きな影響をあたえていることは明白といえます。今後GSK-3βの活性状態と記憶の状態変化を調べることで、これまでほとんど実体が示されてこなかった脳の情報処理過程である記憶の固定化および再固定化の研究基盤が確立することが期待されます。
 GSK-3βは、タウタンパク質をリン酸化することでその凝集体の生成を促し蓄積させることができるため、アルツハイマー病発症過程においても鍵をにぎるタンパク質の1つとされています。本研究は、その活性化状態が記憶の再固定化に必須の役割を担っていることを示しました。加齢と共に知識が増えることで、自然と記憶の再固定化のプロセスが頻繁に活性化されるようになると予想され、このことがGSK-3βをさらに活性化し、タウタンパク質の蓄積を引き起こすことによって老化による記憶障害を引き起こすと考えられます。
 本研究と、研究チームの最近の成果(2008年8月21日記者発表 http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/080821/index.html)から、アルツハイマー病は、単純なタンパク質の変成疾患ではなく、脳の記憶形成維持プロセスに大きく依存した疾患であることが明らかになってきました。そして、脳科学が加齢脳の記憶プロセスに対応したライフスタイルや生活環境を提案することで、脳老化を遅延しアルツハイマー病の発症を制御できる可能性があります。

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理化学研究所、ゲノム科学研究者のネットワーク(新GSC)の本格運用へ会員募集を開始
ゲノム科学研究者のネットワーク(新GSC)を形成
- ゲノム科学の発展のために、蓄積情報、人材基盤を理研から本格発信 -

●ゲノム科学総合研究センターの理念・成果のもとに、組織をスクラップアンドビルド
●理研外の研究者、若手や任期制研究者から会員を募集
●情報共有・情報発信の場として、ゲノム科学研究の人材基盤となる組織へ


 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、2008年3月、発展的改組を行ったゲノム科学総合研究センター(旧GSC)※1の理念を継承して、2008年4月、研究者の情報共有と積極的な情報発信のためGenomic Sciences Research Complex(新GSC、和田昭允組織長)を発足しました。今回、この運用を本格化させるため、広く外部から会員募集を開始します。

 旧GSCは、1998年10月、科学技術会議ゲノム科学委員会が決定した「ゲノム科学に関する研究開発についての長期的考え方」に基づいて、わが国のゲノム科学総合研究の中核的な拠点として発足しました。これまで、国際協力でヒトゲノムの解読を完成させるとともに、RNA大陸の発見、タンパク3000プロジェクトと、生命科学の節目となる、重要な成果を生み出してきました。また、マウスやシロイヌナズナなど、実験生物の変異株のリソースを体系的に開発してきました。さらに、生命をシステムとして理解する上で重要な、計算生物学の技術基盤を確立する挑戦も続けてきました。目的としていた10年間のミッションを終え、時代に合わせた新しい研究ニーズに対応させるために、旧GSCを廃止し、3つの独立した研究領域・部門を立ち上げるとともに、システム計算生物学関連研究を基幹研究所(玉尾皓平所長)へ、マウスミュータジェネシス関連研究を理研バイオリソースセンター(小幡裕一センター長)へ、それぞれ移管しました。同時に、旧GSCの研究者の連携を図るため、2008年4月、新GSCとなる組織「Genomic Sciences Research Complex」を立ち上げ、所内連携を図ってきました。

 旧GSCが設立してからちょうど10年となる2008年10月1日を機会に、新GSCが、日本中のゲノム科学に関わる研究者のネットワークの拠点、情報発信の場として機能する事業活動を本格化させるために、理研外部の研究者からメンバーを募集します。日本中から広く会員を募集することにより、オールジャパンでの連携が可能な研究組織へと広がっていくことが期待されます。


1.背 景
 理研ゲノム科学総合研究センター(旧GSC)は、「ライフサイエンスに関する研究開発基本計画」(内閣総理大臣決定、1997年8月13日)において、国として特に取り組むべき領域(ゲノム等基礎的生体分子に関する研究開発)を推進する機関として位置づけられたことを受け、1998年10月1日に発足しました。また、研究を集中的に実施する場として、研究センターの研究施設を神奈川県横浜市に2000年秋に開設し、この地が現在の理研ライフサイエンスの研究拠点である理研横浜研究所※2となっています。
 旧GSC第1期(1998年~2002年度)には、和田昭允センター所長が早くからオミックスペース解析※3の重要性を唱え、普遍的なデータ(ゲノムワイド基盤情報)の整備を構想しました。そして、旧GSCは、ゲノム・遺伝子・タンパク質・動物・植物の研究分野を立ち上げました。第2期(2003年度~2007年度)には榊佳之センター長のもと、システム計算生物学とバイオインフォマティックスの重要性をいち早く捉え、新しくシステム情報生物学研究グループを立ち上げるなど、新しい分野への展開をスタートさせました。
 理研は、旧GSCの10年間のミッションが終了したことから、2008年4月に改組を行いました。旧GSCの廃止とともに、オミックス基盤研究領域(林崎良英領域長)、生命分子システム基盤研究領域(横山茂之領域長)、生命情報基盤研究部門(豊田哲郎部門長)の2領域・1部門の発足、基幹研究所先端計算科学研究領域(茅幸二領域長)へ旧GSCシステム計算生物学研究グループの移管、バイオリソースセンター(小幡裕一センター長)へマウス機能・変異研究チーム群の集約といった、大規模な組織改編を行い、新しい時代の研究開発・基盤整備に向けてそれぞれ発展しています。


2.Genomic Sciences Research Complexの発足・発展
 新GSC(Genomic Sciences Research Complex)は、2008年4月の旧GSCの改組にあわせ、ゲノム科学研究者の横のつながりを維持し、理研のゲノム科学の中核となるために設立したヴァーチャルな研究組織です。また理研では、研究者の活性化などのために任期雇用制度を展開してきたため、組織を去った研究者が集い、情報交換などを精力的に展開するためのOB会といった組織がありません。そこで新GSCは、理研からの転出者に対する同窓会組織としての組織機能も果たしています(表1)。このことは、近年10年間で増えた任期制研究者※4(図1)に対する理研の今後の課題となっています。
 新GSCは、蓄積した貴重なゲノム情報などを積極的に活用するために、情報を必要とするゲノム科学研究の研究者からの会員を受け付けます。そしてGenomic Sciences Research Complexのホームページ内で、これまで若手研究者にとって発表する場の限られていた分野に対しても、会員の主催するイベントの掲載や会員の作成したデータベースの公開など、広く情報交換、情報発信を展開していきます。
 ゲノム科学総合研究センター(旧GSC)は、理研で初めて廃止となった研究センターで、新GSCは、今後の戦略研究センターのミッション終了後における新しい組織モデルにもなるものです。


3.今後の期待
 今回、新GSCは、理研の組織でありながら理研外部者からも会員を受け付ける、オープンなシステムとしました。ヴァーチャルな研究組織であるために、研究者が所属を超えて連携することができます。その結果、若手研究者が、理研GSCという世界的ブランドの中に新たな発表の場を得るだけでなく、情報交換が進むことによる任期制研究者のためのジョブマーケット化や、新しいシンポジウムの立ち上げなど、今後のさらなる発展が期待されます。

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長寿遺伝子を増やす物質
チベット産冬虫夏草の超臨界抽出物に長寿遺伝子の発現の促進を確認

ノエビアは、チベット高原に自生する冬虫夏草の「超臨界抽出エキス」に、
Caenorhabditis elegans(※1)の平均寿命や生存率を向上させ、モデル動物を使った
系において長寿遺伝子と呼ばれる遺伝子の発現を増やすことを確認しました。
今冬、この研究成果をサプリメントなどの新製品に応用する予定です。

第58回日本薬学会近畿支部大会総会にて発表


 株式会社ノエビア(最高執行責任者:大倉俊(たかし))は、古来から中国において珍重されている伝統的な滋養強壮の生薬の一つである冬虫夏草(学名: Cordyceps sinensis)を用いて老化予防に関する研究を進めてきました。その結果、「超臨界抽出エキス」(※2)において、「熱水抽出エキス」と同等のC.elegansの平均寿命及び生存率の向上、その他、モデル動物を使った系において長寿遺伝子と呼ばれるsirt1遺伝子(※3)、klotho遺伝子(※4)を発現させる効果を見出しました。この研究成果を2008年10月25日に神戸薬科大学(神戸市)で行われる「第58回日本薬学会近畿支部大会総会」にて発表します。また、この成果を今冬発売の商品に応用する予定です。

※1 全長が1mm程度の土壌生物で、神経系、消化器系、生殖器、筋肉などの組織を持つヒトの遺伝子と74%の相同性を持ち、老化研究に多く使用される( C.elegansと表す)
※2 極性の低い脂溶性の成分を抽出する方法を用いて抽出したエキス
※3「代謝関連」や「細胞の生存」に関与し、世間的に長寿遺伝子とよばれる遺伝子
※4 老化に伴ってklothoタンパク質は減少すること、klotho 遺伝子に異常があるマウスは寿命が短いことから世間的に長寿遺伝子と呼ばれる遺伝子


【研究の背景】
 冬虫夏草は煎じて飲まれることが多いことから、「熱水抽出エキス」を用いた機能性評価が一般的であり、又煎じた後の冬虫夏草原体は廃棄されます。
 ノエビアは、熱水抽出では抽出できなかった成分の中にも、体に良い成分が含有されているのではないかと考え、熱水抽出とは全く対極の抽出方法である超臨界抽出方法を用いて脂溶性の成分を抽出しました。
 一般的に冬虫夏草には抗老化作用があると報告されています。そこで、抗老化に対する科学的根拠を得る為に、チベット産冬虫夏草の「熱水抽出エキス」と「超臨界抽出エキス」で比較し試験を行いました。

【研究の成果】
 採取した冬虫夏草を乾燥、粉砕し、熱水抽出したエキスと熱水後の冬虫夏草原体から超臨界抽出したエキスを用いて、抗老化に対する作用の比較実験を行いました。その結果、発現に程度の差はあるものの、超臨界抽出物にも、C.elegansの平均寿命及び生存率の向上が見られ、モデル動物や細胞を使った系などにおいて細胞賦活、抗酸化、sirt1遺伝子、klotho遺伝子の発現向上の効果を見出しました。特にklotho遺伝子の発現については、冬虫夏草の超臨界抽出物のみに見られました。以上の結果から、冬虫夏草超臨界抽出物にも老化を予防する効果がある事が示唆されます。今後も引き続き抗老化について調査し、各抽出エキスにおける機能性の差異を研究し、解析を進めていきます。

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