コーヒーのぬくもりが恋しい季節。コーヒーはカフェインが頭を刺激する働きが知られているが、最近は別の面でも健康との関係が指摘され始めた。がんだ。コーヒーをよく飲む人は膵臓や腸、肝臓のがんにかかりにくい傾向があるという調査結果が最近相次いで発表され、「眠気覚まし」以外の作用が注目を浴びている。
コーヒーを多く飲む男性ほど、膵臓(すいぞう)がんになる確率が低い−−。厚生労働省の研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が日本がん学会で発表した調査結果だ。
具体的にはコーヒーを1日1〜2杯以上飲む男性は、膵臓がんにかかるリスクが、ほとんど飲まないグループより低かった。1日3杯飲む男性の危険度はさらに低かった。この結果から見る限りでは、コーヒーをよく飲む男性ほど、危険度が下がる傾向がうかがえる。
40〜69歳の男女約10万人を対象にした大規模な調査の結果だ。コーヒーを1日に3杯以上飲む人、1〜2杯の人、1杯未満の人、ほとんど飲まない人の4グループに分けて調べた。平均約11年にもわたる追跡調査の期間中に膵臓がんになった人のコーヒー摂取量との関係を分析した結果だ。
誤解のないように書き添えるが、この調査結果はコーヒーががん抑制効果をはっきり持つと示しているわけではなく、コーヒーのどの成分ががんリスクと関係しているかを明示してもいない。「コーヒー=がん抑制」と直結して考えるのはいささか早とちりだろう。
本格的なコーヒーのいれ方を学ぶ人も増えてきた
厚労省研究班の別の調査では、コーヒーを1日に3杯以上飲む女性は、ほとんど飲まない人に比べ、結腸がんにかかるリスクが約半分に下がるという結果が出ている。女性で結腸がんができるリスクは、1日に3杯以上飲む人の方が、ほとんど飲まない人と比べて56%低かった。男性には顕著な関係性は見付からなかった。男性は喫煙や飲酒といった、コーヒー以外の要因が大腸がんの発症と関係している可能性があるという。
コーヒーを1日に5杯以上飲む人は、ほとんど飲まない人に比べ、肝臓がんの発病率が約4分の1に低下するというデータも、厚労省の研究班がまとめた調査結果だ。ほとんど飲まない人の発病率を「1」とすると、毎日1〜2杯飲む人は0.52、3〜4杯は0.48、5杯以上は0.24となり、調査の範囲では「多く飲む方が発病しにくい」という傾向が見られた。数字を仮にそのまま当てはめれば、コーヒーを毎日1杯以上飲む人は肝がんにかかるリスクが半減していることになる。
コーヒーを飲む人に肝臓がんリスクが下がる傾向があるという調査結果は、その前に東北大学の研究チームも発表している。この調査では、コーヒーを1日に平均1杯以上飲む人が肝臓がんになる危険性は、全く飲まない人の6割程度という数字が出た。
精神面でのリラックス効果は多くの人が認めるところ
これら2つの調査結果も、コーヒーのどの成分が直接的にそれぞれのがん防止に効果を発揮するのかを明らかにはしていない。統計的に見て因果関係がうかがえるという程度の分析であり、「コーヒーが○○に効く」という短絡的な思いこみは禁物だ。
コーヒーには健康上のマイナス面もある。カフェインは交感神経の働きを活発にするので、血圧や脈拍が上がりやすくなる。血管系の重い病気を患っている人は避けるのが望ましい。妊娠中の女性も飲み過ぎは禁物だ。もちろん、眠気を抑える働きがあるので、不眠を誘うおそれもある。
手軽に飲めるチルドカップ・タイプの商品が市民権を得た 全日本コーヒー協会のサイトでは、ほかにも、心臓の拍動を高めて血流を良くする効果や、腎臓の働きを活発にして、老廃物の排泄を進める作用、二日酔いに伴う頭痛を和らげるメリットなどが紹介されている。しかし、ストレスの多い現代人にとってやはり一番ありがたいのは、コーヒーの香りがもたらすリラックス効果だろう。ストレスはあらゆる病を助長する源。ふくよかな香りとまろやかな味わいでストレスから解放される一瞬は万薬にも代え難い。
調査会社のエルゴ・ブレインズが実施したアンケート調査によれば、コーヒーを飲む頻度は「1日に2杯以上」が48%だった。「1日に2杯以上」の割合は、年代別では50代以上が61%で最も高い。次いで40代の54.9%。年代が上がるにつれて、コーヒーを「1日に2杯以上」飲む割合が高くなる傾向が見られ、「大人ほどコーヒーを飲む」傾向が見て取れる。
日本経済新聞
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テーマ:食と健康 - ジャンル:ヘルス・ダイエット
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